研究課題/領域番号 |
19K17277
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
寒川 悦次 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 助教 (80572643)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 常染色体優性多発性嚢胞腎 / TAE / 腎静脈塞栓術 / TRVE |
研究実績の概要 |
本研究の目的は常染色体優性多発性嚢胞腎(ACPKD)に対する経カテーテル的腎静脈塞栓術(TRVE)の臨床応用に向け、基礎的実験を行うことである。腎静脈塞栓術は現時点で動物実験・臨床例の報告はない。大型動物(イヌ)の腎臓に対して、その安全性、臨床効果、腎機能に与える影響、至適塞栓物質および合併症について検討を行う。 常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)では経年的に腫大し続ける腎臓による他臓器圧迫症状が透析導入後や腎移植時に問題となる。本邦おける2013年の集計で慢性透析患者のうちADPKD患者は約900人(2.5%)を占めている。従来、外科的切除や嚢胞穿刺術が行われてきたが、より低侵襲である動脈塞栓術(TAE)の報告が2002年に本邦より発信されている。TAEでは様々な塞栓物質(コイル、エタノール、スポンゼル、NBCAなど)による腎動脈塞栓術が報告されているが、合併症として、疼痛・発熱はほぼ必発で、稀ではあるが発生すると重篤な腎膿瘍の発生や腎血管性高血圧などの合併症もあり、結果として外科的切除となる報告も散見される。ADPKDに対するTAEの位置づけは、腫大した腎容積の縮小による腹部圧迫症状の軽減である。一方、腎静脈塞栓術の報告はなく、腎動脈塞栓術と比較して合併症・副作用の少ない治療法としての確立を目指す。まず腎静脈塞栓術の安全性と腎容積縮小率、腎容積縮小が出現するまでの期間、至適塞栓物質および方法の選択、重篤な合併症の発生率の評価するため、片腎塞栓モデルを作成し、腎動脈塞栓群をコントロールとして評価を行う。まず腎静脈塞栓群(AVP+末梢腎静脈側ゼラチンスポンジ注入群)を作成する予定としたが、AVPと腎静脈の間隙からのカテーテル挿入に難渋し、腎静脈塞栓群(AVP単独群)の作成に切り替えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初、計画段階では大腿静脈アプローチでの腎静脈塞栓を計画していたが、6Frガイディングカテーテル挿入が困難であり、経静脈アプローチに切り替えた。 腎静脈塞栓群(AVP+末梢腎静脈側ゼラチンスポンジ注入群)を作成する予定としたが、AVPと腎静脈の間隙からのカテーテル挿入に難渋し、腎静脈塞栓群(AVP単独群)の作成に切り替えているが、AVP留置時に大腿静脈から挿入したカテーテルをあらかじめ、腎静脈末梢に挟み込むことで、対応可能と考えている。現状ではAVP留置の経過を見ている段階である。
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今後の研究の推進方策 |
今後腎静脈塞栓群(AVP単独)の経過を確認し、腎萎縮が得られるまでの期間と炎症反応の推移、大きな合併症の発生率を確認したうえで、コントロール群および腎静脈塞栓群を計画的な作成に移行する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
動物実験施設の改修工事のため、実験の進行が遅れているため。 使用計画としては次年度の実験の件数と本年度予定していた分も含めて、追加で実験を施行していく。このため、物品費が増加予定である。
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