研究課題/領域番号 |
19K17278
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
上硲 敦文 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (30750913)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 経皮経肝的門脈塞栓術 / NLE |
研究実績の概要 |
本研究は、経皮経肝的門脈塞栓術(percutaneous transhepatic portal embolization;PTPE)の新たな塞栓物質を開発し、医療経済的に有利な手法を編み出し、医療者の手技的な負担も減らすことを目的としている。PTPEは、術後肝不全を防ぐために、肝切除術前に切除肝の門脈を金属コイルや医療用ゼラチンスポンジなどの塞栓物質で塞栓することにより、残肝体積を増加させる治療法である。我々が開発したNBCA,lipiodol,Ethanolの混和物(NLE)は、従来の塞栓物質と比べ、再開通の防止及び残肝体積の増加の促進が期待でき、しかも安価であり、視認性もよく、バルーンカテーテルとの接着なく安全に手技を施行できると考えられる。本研究は、NLEを用いて正常豚門脈にPTPEを行い、その安全性と有用性について評価を行うことである。 当該年度は、実験の手法を確立させることを目的とし、予備実験を行った。 全身麻酔下の正常ブタにて、開腹し門脈内へイントロデューサーシースを挿入し、バルーンカテーテルを安全に確実に留置することに成功した。また、バルーンカテーテルより造影剤やNLEを注入できるかどうかも確認し、成功をおさめた。ガイドワイヤーを用いて、左右の門脈本幹にも各々カテーテルを挿入することができることも確認した。また、バルーンカテーテルにNLEが接着しないことも確認がとれた。問題点としては、一度使用したバルーンカテーテルの内腔に塞栓物質が付着し、複数回の使用に耐えられない可能性が考えられた。 課題としては、実験の手技的な時間(時間短縮のためには実験者が成熟する必要がある)や、実験後のブタの健康状態の確認が必要と考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
手技的な面において、実験遂行自体は可能と考えられるが、塞栓物質(NLE)の至適調合濃度の確定や、現在の社会情勢により実験施設の使用制限によりやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
NLEの調合濃度の確定を行う。また、対照群としての塞栓物質の確定(PTPEにて使用する塞栓物質はコンセンサスがえられていない)も行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和元年度に予備実験を行った。本実験の手技や薬剤の調合などがうまく行えるか確認した。 そのため、本実験を行う予定が延期となり、当初予算として考えていた分(本実験用の予算)が余る結果となった。 使用計画としては、本実験時の費用や使用カテーテルなどの物品代として考えている。
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