研究実績の概要 |
2021年度は、正常ブタを使用した本実験を行った。当初の予定ではブタ6頭を使用し、左右門脈を塞栓し、3日後にsacrificeする予定であった。しかし、予算の問題及び動物愛護の問題(門脈両枝を塞栓すると肝臓機能不全に陥る可能性が高く、ブタ自体に相当な苦痛をもたらすと考えられた)から、3Rの原則にのっとり3頭を使用して当日麻酔をかけたままsacrificeすることとした。NLE(NBCA, Lipiodol, Ethanol)を用いた塞栓は良好であった。バルーンカテーテルへのNLE接着も認めなかった。しかし、対照となるLipiodol(Lp)+ゼラチンスポンジ(GS)群では塞栓物質が塞栓門脈枝にとどまらずに漏れ出してしまい、不成功におわった。実臨床でもLp+GS部は金属コイルでフタをして漏れ出ないようにするため、やはり何らかの物質でフタをする必要があると考えられた。 実験系として成立しなかったため、用意したブタを無駄にすることを避けるため、その他の門脈枝をNL(NBCA, Lp)やNLI(NBCA, Lp, iopamidol)にて塞栓を試みて、それぞれの塞栓物質の門脈内での塞栓効果を観察することとした。NLは現在実臨床でよく用いられてる塞栓物質であるが、強い接着性が問題となる。バルーンカテーテルへの接着が認められた。NLIは当科にて最近研究が行われている塞栓物質であり、NLE同様に接着性を落としつつ、塞栓力を担保した物質として期待されている。バルーンカテーテルへの接着はこちらはなかった。 3頭ともNLE,NL, NLI, Lp+GSで門脈を塞栓し、sacrificeした。肝臓を摘出し、病理標本を作製した。
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