研究実績の概要 |
2022年度は昨年実施した実験標本の病理学的評価を行った。ゼラチンスポンジ+リピオドールを用いて行った門脈塞栓部位周囲の組織像;①、NBCA+リピオドール(NL)を用いて行った門脈塞栓部位周囲の組織像;②、NBCA+リピオドール+エタノール(NLE)を用いて行った門脈塞栓部位周囲の組織像;③、NBCA+リピオドール+イオパミドール(NLI)を用いて行った門脈塞栓部位周囲の組織像;④ の4種類の部分の評価を行った。 ①:塞栓物質(ゼラチンスポンジ)が径3mm程度の門脈内に残存していた。また、リピオドールも同様に認められた。②:1mm程度までの門脈内にNBCAと思われる塞栓物質が充満していた。炎症細胞浸潤や血管内皮障害性は指摘できなかった。③、④:②と同様の所見であった。 今回の実験ではsacrificeまでの時間が数時間と短く、長期的な炎症反応など慢性期の生体反応がいかなるものになるかは評価できない。少なくとも短期的な塞栓能力は昨年の実験で得られた結果上NL, NLE, NLIともに差は認めなかった。病理学的な組織障害性についても少なくとも塞栓後数時間の超急性期の状態では3者ともに大きな差は認められなかった。 実臨床においてはNLを用いた門脈塞栓術は既に人体に行われている。今後としては今回得られた知見を基に、当科にて研究を遂行しているNLEやNLIの門脈塞栓術における応用がいかなるものになるのか更に実験を重ねていく方針である。
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