研究課題
本研究の目的は、急性動脈閉塞症に対する新たな血管内治療法を開発することにより、従来は治療効果が限定的であった陳旧化血栓や大量血栓に対しても、血管内治療により低侵襲かつ安全な治療を可能とすることである。本研究期間内において、ALIに対する新たな血管内治療法開発およびその効果と安全性に関して検討することを目標としている。2020年度の目標は、陳旧化・大量血栓を除去するための新たな血管内治療法を開発し、in vitroおよび正常動物による動物実験を行うことであった。2019年度に開発した血栓除去システム(Fogartyバルーンカテーテルおよびバルーン付きガイディングカテーテル)を用いて、生体外で血栓モデルを用いた実験を行った。新鮮・少量血栓、陳旧化血栓、大量血栓のいずれの血栓モデルにおいても、簡便且つ確実に血栓除去が行えることを確認した。また、血栓除去の過程で血栓を末梢側へ流出させることもなく、安全に血栓回収・除去が行えることを確認した。その後、ブタを用いた動物実験を開始した。まだ、予備実験として数例施行したのみであるが、既に臨床に使用されているデバイスを用いていることもあり、手技的な問題はなく、安全に使用することが可能であることが確認できた。今後は更なる動物実験に関するデータを収集し治療効果と安全性を評価していく予定である。一方、デバイスの開発および実験と並行して、当院におけるALIに対する血管内治療の成績をまとめ原著論文としてAnnals of Vascular Surgeryに発表した。様々な血管内治療テクニックを用いることにより、良好かつ安全な治療成績が得られることが示された。また、閉塞血管の種類と閉塞部位によって比較を行い、グラフト閉塞よりもnative動脈閉塞の方が下肢切断回避生存率が低く非下腿動脈閉塞よりも下腿動脈閉塞のほうが下肢切断のリスクが高いことが示唆された。
3: やや遅れている
正常動物による動物実験を開始したばかりであり、必要十分なデータ収集が行われていない。当初の予定では、2020年度中に動物実験を終了している予定であったので、計画よりはやや遅れている。
速やかに動物実験を終了して治療効果および安全性の評価を行い、考案した新規血管内治療法の実行可能性について検証していく予定である。また、得られたデータをまとめ、学会発表および論文作成・投稿を行っていく。
コロナの影響で当初予定していた国内外の出張ができなかった。またコロナの影響で実験計画にも遅れが生じたため
すべて 2021 2020
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件)
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