研究課題
本研究の目的は、急性動脈閉塞症(ALI; acute limb ischemia)に対する新たな血管内治療法を開発することにより、従来は治療効果が限定的であった陳旧化血栓や大量血栓に対しても、血管内治療により低侵襲かつ安全な治療を可能とすることである。本研究期間内において、ALIに対する新たな血管内治療法開発およびその効果と安全性に関して検討することを目標としている。2022年度の目標は、開発した陳旧化・大量血栓を除去するための新たな血管内治療法を用いて実験を行い、データ分析を行うことであった。以下、研究成果について述べる。新たに開発した血栓除去システム(Fogartyバルーンカテーテルおよびバルーン付きガイディングカテーテル)を用いた方法を改良し、大口径シースと止血デバイスを用いることで大量血栓に対しても同血栓除去システムを行うことが可能となった。本年度も前年度から引き続き、動物実験によるデータ収集・解析を行った。動物実験からは同血管内治療システムの有効性と安全性を示すことができたが、実臨床においては、閉塞性動脈硬化症の合併により高度石灰化や血管狭窄・閉塞など、血管性状が悪いことが想定される。このような症例に対しては、大口径シースや止血デバイスが使用困難な可能性があり、同血管内治療システムの実効性や安全性に関しては引き続き検討が必要と考えられる。また、同血管内治療システムは下肢の急性動脈閉塞症に対して開発したものではあるが、上肢動脈や上腸間膜動脈などの下肢以外の動脈、下肢の深部静脈血栓症や門脈血栓などの静脈系にも応用可能であるかを次年度以降に検証したいと考えている。下肢の急性動脈閉塞症に関しても、実臨床へ使用できるように準備を進めていく予定である。
3: やや遅れている
当初の予定では、2021年度中に全ての研究が終了している予定であったので、計画よりはやや遅れている。
速やかに全てのデータ収集・解析を終了して治療効果および安全性の評価を行い、得られたデータをまとめ、学会発表および論文作成・投稿を行っていく。
コロナの影響で学会を含め、対面でのmeeting、活動や行動に制約が生じた影響もあり、実験計画が当初の予定通り組むことが難しかったため、成果発表、論文発表等すべてのスケジュール進行に遅れが生じたため。
すべて 2023 2022
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 1件、 招待講演 8件)
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