放射線画像診断において重要な撮影方法の一つであるpartial-angle scan撮影は、国際的にも線量評価法が統一されていない。本研究では、partial-angle scan撮影の原理・概念に基づいた新たな線量評価法を確立した。提案した評価法は、computed tomography(CT)検査における線量評価で用いられているCT dose index(CTDI)ファントム内で適切な位置で線量測定を行うというシンプルなものである。結果として、本提案手法を用いることで4%の精度で正確な線量評価が行えることが判明した。本提案手法はシンプルであるが故に汎用性がある。具体的には、各医療施設で保有している既存のCTDIファントムに少しの加工を加えることで測定が可能である。 最終年度では、partial-angle scan撮影の線量評価をCTDI値のみならず、患者の臓器線量へと拡張した。臓器線量はOSL線量計を挿入できる標準成人体型の人体ファントムを用いて測定した。血管造影装置・放射線治療装置・CT装置の複数のモダリティで測定を行った。CT検査において、臓器線量はCTDI値に換算係数を乗ずることによって求めることが一般的である。しかし、partial-angle scan撮影ではモダリティ毎に回転角度が異なるため従来の換算係数では臓器線量を精度良く推定できない。そこで本研究では「回転角度で規格化したCTDI値」を新たに提案し、検討を行った。結果として、様々なpartial-angle scan撮影のみならずCT撮影を含めて精度よく臓器線量を推定することができた。本研究成果は、従来困難であったpartial-angle scan撮影及びCT撮影の線量評価法の統一を実現できる。本研究成果は海外学術雑誌に投稿し、現在査読中である。
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