研究課題/領域番号 |
19K17285
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研究機関 | 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪国際がんセンター(研究所) |
研究代表者 |
大平 新吾 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪国際がんセンター(研究所), その他部局等, 放射線腫瘍科技師 (50792694)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 二重エネルギー / 四次元 / 放射線治療 / 肝臓癌 / 膵臓癌 / 医学物理 |
研究実績の概要 |
肝臓癌に対して、四次元二重エネルギーCTを撮影することによって、従来のXエネルギー(120 kVp)相当画像よりも、二重エネルギーCTより生成した低エネルギー(60 keV)仮想単色X線画像のほうが、腫瘍を明瞭に描出できることを明らかにした。仮想単色X線画像において、エネルギーが下がるほど、腫瘍と肝静脈のCT値は大きくなり、それぞれの関心領域内のノイズも増大した。コントラストノイズ比は60 keVの仮想単色X線画像において最大となった。定量的に解析した客観的評価、放射線腫瘍医による視覚的な主観的評価においても、画質を改善できたことを示した。また、四次元二重エネルギーCTを撮影することによって、自由呼吸下での肝臓癌の呼吸性移動量の評価を可能とした。肝臓ドームの動きと肝臓癌の動きは異なることを明らかにした。放射線治療時、肝ドームの動きを代替指標として治療することは予期しないエラーが発生する可能性が示唆された。 肝臓癌症例において、四次元二重エネルギーCT撮像後、造影剤注入後約2分後に後期相撮影を行い、肝臓に取り込まれるヨード密度の定量的評価を行った。撮影データから、体内に取り込まれたヨード量を定量的に評価できる、ヨード密度画像を生成した。さらに、大動脈に対する肝臓のヨード量比を表す、Normalized iodine density (NID)画像を生成した。NID画像によって、肝細胞の線維化が進行している領域を可視化することを可能とした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍の影響によって、研究を遂行する十分な時間を確保できなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
高額装置である二重エネルギーCTの使用は限られており、従来のSingle-energy CTが広く臨床で用いられている。本研究成果を国内外で幅広く利用するために、人工知能を取り入れる。人工知能によって、二重エネルギーCT画像の特徴量を学習させ画質の向上を試みる。また、四次元二重エネルギーCTの高精度放射線治療計画への応用を試みる。 本研究で得られた研究成果は国内外の学会で発表する。また、医学雑誌に投稿を行う。報道関係にも情報提供して、社会・国民に貢献するよう発信する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により学会への出張が取りやめとなったため、旅費としての執行がなかったため。代わって、次年度に学会にて研究発表を行うことを予定しており、その旅費に使用する予定である。
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