研究課題
55人が対象として本研究に組み込まれ、パレコウイルスA感染症27人、エンテロウイルス感染症1人であった。検出されたパレコウイルスA感染症は、6月と7月に最多であり、従来の流行時期であった。さらに、患者発生はその2か月間は九州地区に限局していた。9月にも患者発生があったが東京であり、8月はゼロであった。COVID-19の第7波がその時期に重なったため、再流行のきざしをみせたパレコウイルスA感染症があまり全国に拡散しきらなかったことが推測された。初年度は国内の小児入院施設における本疾患の疾病負荷の全体像をつかんだ。2年目は、例年一定数の検出があるはずのエンテロウイルスが検出数ゼロであり、COVID-19のパンデミックの影響を反映していると考えられた。4年目の2022年度はパレコウイルスA感染症の症例数の再増加がみられた。COVID-19のパンデミックに対する厳格な感染対策や行動制限が緩和され、他の疾患が再増加を見せているが、パレコウイルスA感染症も例外ではなく、早期乳児の敗血症もパンデミック前に戻る可能性があることが示唆された。本研究の小児入院施設全国ネットワークによって、一部の地域におけるパレコウイルスA感染症の局所的流行を継続的につかむことできている。また、2022年度のパレコウイルスAの遺伝子型は3型が大半であったが、9月の2例は4型であった。遺伝子型の同定はパレコウイルスA感染症の疫学をさらに明確にすることも示唆された。さらに、本研究の体制とパレコウイルスAの検出状況もウェブサイトで継続的に更新情報を公開し、本研究に参加していない施設の医療者にも情報を共有できるようにした。
相澤悠太, 太刀川潤, 幾瀨樹, 羽深理恵, 齋藤昭彦, 渡邉香奈子, 諸岡雄也, 古野憲司, 朴崇娟, 水野由美, 川口直樹, 原卓也, 砂川富正. 福岡県・大分県からの新生児・早期乳児のパレコウイルスA3感染症の症例集積の報告. IASR 43; 234-235, 2022
すべて 2023 2022 その他
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) 備考 (1件)
The Journal of Infectious Disease
巻: 227 ページ: 288-294
10.1093/infdis/jiac213
https://www.med.niigata-u.ac.jp/ped/parechovirus/