研究課題/領域番号 |
19K17296
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
西田 浩輔 神戸大学, 医学部附属病院, 助教 (40837697)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 新生児敗血症 / 早産児マウス敗血症モデル / 間葉系幹細胞 / ヒトリコンビナントトロンボモジュリン |
研究実績の概要 |
新生児敗血症は、予後不良疾患であり、現在もなお高い致死率・後遺症発症率を認める。特に宿主防御機構が未熟な早産児においては、現行の抗菌薬治療単独での救命は困難であり、新規治療法開発は喫緊の課題である。本研究課題の最終目標は、新生児臍帯由来の間葉系幹細胞(Mesenchymal Stem Cell:MSCs)を用いた新生児敗血症治療法を確立することである。 昨年度は、動物モデル作成手技の確立および薬物治療実験系の樹立を目的に、敗血症治療薬として合目的な薬理作用を有するヒトリコンビナントトロンボモジュリン(rh-TM)を用いて以下の実験を行った。 方法は、(1)動物実験施設の承認後、10週齢の成獣マウスを安楽死し、虫垂を摘出し、虫垂内容物を15%glycerol-PBSに溶解し糞便懸濁液(Cecal Slurry, CS 100mg/ml)を作成した。全実験を通じ同一起源のCS保存液を用いた。CS 1.5mg/g 体重をヒト早産相当である4日齢の野生型FVBマウスに腹腔内投与し作成した。(2)rh-TM(10.0mg/kg)を4日齢マウスに皮下投与し、有害事象を検討した。(3)生食およびrh-TM(3.0mg/kg群または10.0mg/kg群)を皮下投与した6時間後にCS投与により敗血症を誘導し、投与後7日間の死亡率を比較した。 結果は、敗血症死亡率は、rh-TM 3mg/kg群では生食群と比して有意に低下した。一方、rh-TM 10mg/kg群では生食群と比して死亡率が有意に高かった。結論として、早産児マウス敗血症モデルにおいて、rh-TM 3.0mg/kgの適量投与は保護的に作用する一方、rh-TM 10.0mg/kgの過量投与は凝固障害を助長し悪影響を及ぼす可能性が示唆された。 次年度以降は、本実験系を用いてMSCs投与の検討を行っていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
早産児マウス敗血症モデルの作成と、rh-TMを用いた薬物投与実験系の確立を行った。 現時点では、MSCsのマウスへの投与実験は開始できていない。
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今後の研究の推進方策 |
新生児の臍帯よりMSCsの培養を行う。 早産児マウス敗血症モデルに対して、培養したMSCsを投与し、有効性を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度において、予定していたMSCsの投与実験まで至らなかったため、MSCsの培養・樹立のための試薬代・備品代を使用しなかった。次年度以降に使用する予定としている。
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