研究課題/領域番号 |
19K17298
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
坊 亮輔 神戸大学, 医学部附属病院, 助教 (10749188)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ガラクトシアリドーシス / スプライシング調整 / CTSA遺伝子 / ライソソーム病 |
研究実績の概要 |
日本人ガラクトシアリドーシス(GS)患者のCTSA遺伝子には、創始者効果によりIVS7+3A>Gが高頻度に認められることが報告されている。この変異はpre-mRNAから成熟mRNAにおけるスプライシングの過程でexon7が欠失するスプライシング異常を引き起こす。そこで、本研究ではこの高頻度変異から生じるスプライシング異常を、アンチセンスオリゴヌクレオチドを用いて修正可能であることを証明しようと考えている。 交付申請書にも記載したように、本研究では①スプライシング修正効率を高くもつAOの同定、②同時に作成したAOの修正効果を検証するin vitroの実験系での治療効果を検証する必要がある。AOの同定に関しては現在in silicoでの解析を進めているが、最もすぐれた効果をもつAOの同定にはいたっていない。in silicoでの解析方法をさらに幅広く変更しながら推し進めていく必要がある。また、我々はin vitroでの検証方法として、患者由来IVS7+3A>Gの変異をminigeneとしてHeLa細胞のみでなく、Hek細胞に導入する系を確立した。至適な条件での培養後、mRNAを強制的に発現させることで、患者由来変異をもつ細胞ではいずれの細胞系でもコントロールと比較してexon7のskipしたmRNAの発現が亢進していることを確認できた。今後、スプライシング修正効果をもつAOが同定でき次第、in vitroの実験系でexon7が導入されたmRNAの発現が改善することを確認できるようなAOの検討をおこなっていく必要があると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究ではスプライシング修正効率を高くもつAOの同定を目的としている。現在in silicoでの解析を進めているが、最もすぐれた効果をもつAOの同定にはいたっていない。in silicoでの解析方法をさらに変更しながら、研究を推し進める必要がある。AOの修正効果を検証するin vitroでの検証方法に関してはHeLa細胞、Hek細胞と異なる細胞系を用いた方法を確立することができた。今後、スプライシング修正効果をもつAOが同定でき次第、in vitroの実験系でexon7が導入されたmRNAの発現が改善することを確認できるようなAOの検討をおこなっていく必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、多種のAOをminigeneを導入した細胞の培養液に投与することでスプライシングの修正が可能かどうかを検証している。現在は効率的にスプライシング修正を誘導できるAOの探索をおこなっているが、効率のよいAOの同定に至っていない。すでに臨床的に使用されている低分子化合物の一部では同様のスプライシング修正作用をもつ物質が同定されているため、研究期間内にうまくスプライシング修正効果の高いAOが作成できない場合には、低分子化合物での同実験系を用いた検討を予定している。またHeLa細胞などでうまく発現改善が確認できない場合には、患者同意を得たうえで、診断時に採取した皮膚線維芽細胞などの研究への応用も検討している。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額は、今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額である。
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