研究実績の概要 |
令和1年度は溶血性尿毒症症候群後の慢性期のモデルマウス作成のため,マウス(C57BL/6)にリポポリサッカライド(LPS)100μg/kg+シガトキシン(Stx)100ng/kgとLPS200μg/kg+Stx200ng/kgを投与した群を作成し、観察を行った。LPS100μg/kg+Stx100ng/kgを投与した群はday4-7に多尿が出現し、体重が低値(-6.5~7.0%)となったが、ほとんどのマウスが生存した。それに対し、LPS200μg/kg+Stx200ng/kgを投与した群ではday5-7までに6-7割程度が死亡した。そのため、LPS100μg/kg+Stx100ng/kgを投与した群で慢性期の評価を行うこととした。投与6ヶ月後、生理食塩水を投与したコントロール群と比較して体重や血圧などの生理学的所見ではLPSとStxを投与した群では大きな差は認めなかった。 今後、腎の病理組織を作成し、組織免疫学的検討(マクロファージ浸潤, α-SMA, 線維化マーカー発現など)や血液(クレアチニンやBUN、血算など)、尿検査(微量アルブミンなど)を行い、溶血性尿毒症症候群モデルマウスの慢性期の評価を行う予定である。またコントロール群と比較して有意な差が見られた場合、RAS阻害薬など薬剤投与を行い、溶血性尿毒症罹患後の慢性期腎障害を抑制されるかどうか、感染などの外因的刺激(LPS)を行うことで残存腎機能に影響を与えるかどうか観察を行っていく。
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