蛋白輸送に着目しSchaaf-Yang症候群 (SYS)の臨床像を確立し 、発症メカニズムを解明することが本研究の目的である。患者集積に関しては、日本におけるSYSの全国疫学調査を実施した。一次調査にて27例の遺伝学的に確定した日本人SYS患者に対し、二次調査ではそのうち25例の詳細な臨床情報を集積できた。これらの患者の臨床情報と遺伝学的情報を集積した患者レジストリーの作成を行い、日本人SYS研究の拠点としての役割を確立した。 SYSのモデルマウスとして、Magel2遺伝子の5’側の約半分を過剰発現するトランスジェニックマウス(Tgマウス)及び、1690番~1924番の235塩基欠失のフレームシフト変異を有するノックアウト (KO) マウスを作成した。Tgマウスは基本的に胎生致死であったが、KOマウスの表現型は軽微にとどまり、ヒト疾患の再現は十分にできなかった。そこで、変異の種類によりMAGEL2に対する影響が大きく異なるとの仮説をたて、in vitroにおいてMAGEL2の種々の変異を導入した細胞株ライブラリーの作成を行い、機能解析の基盤を作成している。
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