研究実績の概要 |
対象症例は年齢・性別を問わず、臨床症状として口唇顎口蓋裂・眼窩間距離の狭小化など、顔面正中部の低形成による顔貌異常を伴う症例とした。新たに鶴岡市立荘内病院で1例の典型的な全前脳胞症(holoprosencephaly: HPE)症例(LOBAR型)と1例のBinderoid complete cleft lip/plate疑い例を同定した。対象症例は令和2年度末までに、宮城県立こども病院・八戸市立市民病院・鶴岡市立荘内病院から典型的なHPE症例3例、東北大学病院・鶴岡市立荘内病院 からBinderoid complete cleft lip/plateとその疑い例 18 例となった。 その中のHPE症例3例 (ALOBAR型1例、SEMILOBAR型1例、LOBAR型1例)、Binderoid complete cleft lip/plate症例2例において、患者もしくは家族よりインフォー ムドコンセントを取得し、患者本人、および両親から採血を実施した。5症例に対してG-bandingを行い、いずれも正常核型であることを確認した。続いて、既知の遺伝子変異の同定、及びHPEの発症に関わる主要なpathwayに含まれる遺伝子の変異を同定するため、Targeted NGS panelを実施した。148の候補遺伝子のエク ソン領域、およびECR browserを用いて同定した非コーディング領域のevolutionarily conseved reigion (脊椎動物において種を超えて保存されている領域)を 解析領域とした。以上を含めた全975,605bp対象領域とし、Hiseq2000を用いてシークエンスした。そのうち八戸市立市民病院で同定されたALOBAR型のHPE症例で既知の原因遺伝子SIX3にde novoのフレームシフトを同定した。残りの4症例については解析を継続中である。
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