研究課題/領域番号 |
19K17332
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
金井 創太郎 鳥取大学, 医学部附属病院, 助教 (80836916)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | てんかん / 脳波 / てんかん性スパズム / てんかん外科 / 脳梁離断術 |
研究実績の概要 |
薬剤抵抗性のてんかん発作のひとつであるてんかん性スパズムに対して、緩和的てんかん外科治療である脳梁離断術の効果を術前に予測できる因子を発見することを主目的として研究を開始した。発作型としててんかん性スパズムをもつ患児の発作時ビデオ脳波記録を後方視的に収集し、脳波所見や発作症候から脳梁離断術の予後予測因子を検討した。 まず脳波の観点からは、発作時脳波の主要な構成要素である高振幅陽性徐波の左右対称性に着目した。左右対称性を証明するために3つの対称性指数を設定し、その全ての数値が高いほど、すなわち発作時高振幅徐波の左右対称性が低いほど脳梁離断術の効果が乏しいことを発見した。英語論文化し、海外査読雑誌に掲載された。 高振幅徐波の選択における主観性の問題を解決するために、コンピューターソフトを使用した数学的波形解析を追加し、その内容を論文化している最中である。 また、発作症候の観点からは、スパズムの筋収縮が2回続けて起こる「二相性筋収縮を伴うてんかん性スパズム」を世界で初めて報告し、その発作型がみられる患者においては脳梁離断術の効果が乏しいことを発見した。これも英語論文化し、海外査読雑誌に承諾され、掲載間近である。 これらの内容を合わせて、2019年11月に行われた第49回日本臨床神経生理学会学術集会のシンポジウムにて、「てんかん性スパズムの発作時脳波解析による脳梁離断術の予後予測」のタイトルで講演を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
発作時ビデオ脳波の解析により、てんかん性スパズムに対する脳梁離断術の予後予測因子として、発作時脳波と発作症候から2つを発見し、それぞれに論文化した。1本は掲載、1本は承諾で掲載間近まで進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
まずは今回発見した発作時脳波による予後予測の客観性を高めるために、コンピューターによる数学的解析を追加しており、それを論文や学会発表の形にしたい。 また、West症候群の特徴として、脳波でのヒプスアリスミアがあげられる。今回の手法を応用して、ヒプスアリスミアの同期性やネットワークを解析し、初期治療の予後予測を試みる。それが証明できれば、今後のWest症候群の患児に対する治療戦略のオーダーメイド化に非常に有用になると考えられる。
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次年度使用額が生じた理由 |
脳波電極の交換が想定より少なく済んだこと、学会出張費の一部を大学医局の医局費から支出できたこと、海外学会の出張が中止になったことで次年度使用額が生じた。今後は国内、海外での学会発表や論文作成を精力的に行うほか、多施設共同研究での通信費、旅費、データ保存媒体の購入費などに助成金を使用していく予定である。
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