てんかん性スパズムの発作時脳波解析による脳梁離断術に対する予後予測因子の解明

2021 年度 実施状況報告書

• 研究課題/領域番号: 19K17332
• 研究機関: 鳥取大学
• 研究代表者: 金井 創太郎 鳥取大学, 医学部附属病院, 助教 (80836916)
• 研究期間 (年度): 2019-04-01 – 2023-03-31
• キーワード: 英文原著論文 / 国内学会シンポジウム / 総説寄稿

研究実績の概要

当初の目的であった、てんかん性スパズムに対する脳梁離断術の予後予測研究については、3本の英文原著論文が出版された（Kanai S, et al. Symmetry of ictal slow waves may predict the outcomes of corpus callosotomy for epileptic spasms. Sci Rep 2019., Kanai S, et al. Insufficient Efficacy of Corpus Callosotomy for Epileptic Spasms With Biphasic Muscular Contractions. Front Neurol 2020., Oguri M, et al. Phase Lag Analyses on Ictal Scalp Electroencephalography May Predict Outcomes of Corpus Callosotomy for Epileptic Spasms. Front Neurol 2020.）。また、国内主要学会での複数回の講演で本研究内容について発表し、大きな反響を得た（2019年第49回日本臨床神経生理学会シンポジウム、2020年第62回日本小児神経学会口演、2021年第63回日本小児神経学会シンポジウム）。てんかん性スパズムに対する脳梁離断術の予後予測因子として、術前の発作時脳波での左右半球間の非同期性、二相性筋収縮を伴うスパズムを呈することがそれぞれ予後不良因子となり得ることを証明した。研究目的は概ね達成できたと考えている。ほかに、ウエスト症候群に対する長期ACTH療法の効果に関する英文原著論文を共著者として発表した（Baba S et al. Efficacy of long-term adrenocorticotropic hormone therapy for West syndrome: A retrospective multicenter case series. Epilepsia Open 2021）。また、同疾患を含めた薬剤抵抗性てんかんに対する治療方針に関する総説を寄稿した（特集てんかん　薬剤抵抗性てんかんへの対応．金井創太郎．小児内科，53[10]，1580-5，2021）。

現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

当初の目的であったてんかん性スパズムに対する脳梁離断術の予後予測研究については、3本の英文原著論文発表、国内主要学会での複数回のシンポジウム講演を行っており、概ね達成できたと考えている。国際学会での発表を想定して予算を計上していたが、コロナ禍のため大幅に学会出席が減少し、予算が余る事態となった。今後学会活動が再開できれば、積極的な発表を目指したい。

今後の研究の推進方策

今後学会活動が再開できれば、積極的な研究成果の発表を目指したい。目標としてはInfantile spasms syndrome（ISS）を脳波ネットワークや治療効果によってグループ分けし、適切な治療戦略を世界に向けて発信することを考えている。そのための予備研究として、ISSの初発時の脳波に対して周波数解析を行い、第一選択薬であるACTH療法の予後予測を試みている。

次年度使用額が生じた理由

コロナ禍により、大幅な学会出張の減少と、研究出張の減少が起こったため。

研究成果

• [雑誌論文] Efficacy of long‐term adrenocorticotropic hormone therapy for West syndrome: A retrospective multicenter case series (2021)
  • 著者名/発表者名: Baba S, Okanishi T, Homma Y, Yoshida T, Goto T, Fukasawa T, Kobayashi S, Kamei A, Fujii Y, Hino‐Fukuyo N, Yamada K, Daida A, Kawawaki H, Hoshino H, Sejima H, Ishida Y, Okazaki T, Inui T, Kanai Sotaro, Motoi H, Itamura S, Nishimura M, Enoki H, Fujimoto A
  • 雑誌名: Epilepsia Open 巻: 6 ページ: 402～412
  • DOI: 10.1002/epi4.12497
  • 査読あり / オープンアクセス
• [学会発表] てんかん性スパズムの発作時脳波解析による脳梁離断術の予後予測 (2021)
  • 著者名/発表者名: 金井創太郎
  • 学会等名: 第63回日本小児神経学会学術集会
  • 招待講演
• [図書] 小児内科 特集てんかん (2021)
  • 著者名/発表者名: 金井創太郎
  • 総ページ数: 6
  • 出版者: 東京医学社