研究課題
本研究では、うっ血性肝硬変モデルマウスを用いて、間葉系幹細胞(MSC)移植の治療効果検証を行い、うっ血性肝硬変に対する再生医療の可能性を見出すことを目的とする。2020年度は、うっ血性肝硬変モデルマウスの肝臓組織からmRNAを抽出し、RT-PCRを行うことで、治療評価に有用な炎症マーカー、線維化マーカーの検索を行った。このうち、肝臓で産生される血漿タンパクであるHistidine-rich glycoprotein(HRG)の発現が、偽手術群と比較してうっ血性肝硬変モデルマウスにおいて著明に低下していることを見出した。HRGに関しては、今後MSC移植群とコントロール群において肝臓内mRNAに発現変化があるかを評価するとともに、血漿中の濃度測定も行うことで、うっ血性肝硬変の進行マーカーとして利用できるかについても検討を行う。また、うっ血性肝硬変マウスに対して1×106個のMSC単回移植を実施したが、コントロール群と比較して、肝臓病理組織において明らかな線維化領域の縮小効果を認めなかった。治療効果を示すにはさらに細胞数が必要である可能性があり、来年度は1回に移植する細胞数を増やすとともに、MSCの複数回移植についても検討を行う予定としている。
3: やや遅れている
うっ血性肝硬変モデルマウスに対するMSC移植を実施し評価を進めているが、現時点で有意な治療効果を示す条件設定に至っていないため。
うっ血性肝硬変モデルマウスに対するMSC移植の1回細胞数を増やし、また複数回移植を行うことで、肝臓線維化領域の縮小が得られるかにつき評価する。また血漿タンパクHRGがうっ血性肝硬変モデルマウスの肝臓において発現低下していることを見出したが、HRG発現がMSC移植により改善するかについても検討を行う。
現時点でうっ血性肝硬変モデルマウスに対するMSC移植の治療効果を認める条件設定ができておらず、MSC移植の治療効果を確認後に予定していたうっ血性肝硬変モデルマウスに対するMSC由来エクソソームの投与実験が実施できなかった。次年度はMSC移植の1回細胞数を増やし、複数回移植を実施して肝臓病理組織評価を行うとともに、肝臓組織内のHRGの発現度がMSC移植により変化するかにつき評価予定であり、MSC移植の有効性が確認できればMSC由来エクソソームの投与実験にも予算を使用する予定である。
すべて 2021 2020
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)
Pediatric Cardiology
巻: 42 ページ: 100-108
10.1007/s00246-020-02458-0
Science Translational Medicine
巻: 12 ページ: -
10.1126/scitranslmed.abb3336