研究課題
マウスの腹壁から採取した脂肪組織をコラゲナーゼ処理することで、細胞移植に必要なMSCを培養することに成功した。次にマウスの下大静脈を部分結紮することで、うっ血性肝硬変モデルを作成し、中心静脈周囲の線維化を伴う肝硬変の所見が得られることを確認した。当初はマウス肝臓のうっ血の程度、病理組織上の肝硬変の程度に個体差が大きく、下大静脈を部分結紮する際に使用するsteel wire径の調整などを行うことで、手技の安定を図った。徐々に個体間のうっ血肝の程度の差が少なくなったため、MSC移植による治療効果判定を実施した。しかし、Placebo群と比較して単回移植群、複数回移植群いずれも中心静脈周囲の線維化の程度や炎症・線維化マーカーに有意な変化を認めなかった。この原因として、静脈投与ではターゲットとなる肝臓組織への細胞集積が少なく、paracrine factorsが肝臓組織に十分に作用せず、抗炎症や組織修復効果が得られなかった可能性が考えられた。一方、上記研究の過程で、うっ血性肝硬変モデルマウスの肝臓組織内のmRNA発現を偽手術群と比較したところ、うっ血性肝硬変モデルにおいてCol1a1、TGFβ、αSMA、PDGFRαといった既知の線維化マーカーの上昇とともに、血漿タンパクHRGのmRNA発現が有意に低下していることを見出した。今後の展望として、フォンタン術後患者の血中HRGが新規の肝臓線維化マーカーとして活用できるかについても検討していきたい。
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Pediatric Cardiology
巻: - ページ: -
10.1007/s00246-021-02782-z
小児科
巻: 62 ページ: 612-619