研究実績の概要 |
本研究は、Tauとアポトーシスのマーカーを指標に、新生児脳症における「予後との関係」および「アポトーシスの程度」について臨床データと併せ解析する。また、「低体温療法の適応拡大と新規脳保護薬導入」の指標としてバイオマーカーの有用性を確立し、新生児脳症の神経学的予後の改善に向けた病態解明を目指す。2019年度、山口大学医学部附属病院総合周産期母子医療センター新生児医療部門に入院した新生児265名のうち、新生児仮死は11名であった。中等度新生児脳症3名および重症新生児脳症2名の合計5例に低体温療法を施行した。低体温療法を施行した症例の在胎期間は37-41週で、出生体重は2,138-3,696 gであった。いずれも出生後6時間以内に低体温療法が施行され、特に本療法による合併症を認めず終了した。いずれも当院で承認の得られた同意書をもとに保護者の同意が得られた。通常の診療行為内の採血検体から、通常の診療に必要な検査の残血清を回収し、-80℃で保存した。出生後日齢0, 3, 7, 14, 28および退院時に保存した。残血清が十分量でない場合は、追加で採取は行わなかった。神経後遺症リスクのない他の疾患の検体もコントロールとして採取した。 これらの血清と、それまでに保存された血清を用いてTauを酵素免疫吸着法(ELISA)キット(Abcam社)により測定し、SBDP 120およびSBDP 145値をELISAキット(CUSABIO社)により測定するところまでが2019年度の計画であったが、これらのキットの納入の兼ね合いで、年度内での測定はできていない。
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