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2020 年度 実施状況報告書

新生児脳症の病態に則した血清バイオマーカーに関する検討

研究課題

研究課題/領域番号 19K17335
研究機関山口大学

研究代表者

高橋 一雅  山口大学, 医学部附属病院, 講師 (50526895)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード新生児脳症 / スペクトリン分解産物 / バイオマーカー
研究実績の概要

一般的に、新生児脳症(Neonatal encephalopathy: NE)の重症度判断にはSarnatやThompsonの提唱した重症度分類が用いられるが、主観的な要素に左右され、必ずしも客観的とはいえない点が問題点である。軸索、シナプス前終末に豊富に存在する細胞骨格蛋白質であるα-Ⅱ spectrinは、calpainを介した細胞死の過程で分子量 145 kDaのspectrin break down product (SBDP) 145が、caspase 3を介したアポトーシスの過程で分子量 120 kDaのSBDP 120が産生される。これら蛋白質のバイオマーカーとしての有用性を検討するのが本研究の目的である。
令和2年度は、NE児の血清SBDP 145及びSBDP 120値を測定し、児の予後との相関から、新生児脳症の病態、及び神経学的予後診断のバイオマーカーとしての有用性を検討した。
令和2年度は、臨床的診断からNEと診断した9名(軽症NE群3名、中等症NE群3名、及び重症NE群3名)において、日齢0、3、及び7における血清SBDP 145及びSBDP 120値をELISA測定キットを用いて測定した。また、当院に入院した新生児のうち、明らかに仮死のないと判断された新生児呼吸障害、あるいはsmall for gestational ageの3名をコントロール群として、同様にSBDP 145、及びSBDP 120 値を測定した。重症NE群の日齢0血清SBDP 145値は、コントロール群、軽症NE群、及び中等症NE群に比し、有意に高値であった。日齢0, 3, 及び7における血清SBDP 145値、日齢0,3及び7における血清SBDP120値は、各群間で有意差を認めなかった。これらの結果から、日齢0の血清SBDP 145値は、重症NEの診断に有用と考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

現時点で、日齢0の血清SBDP 145値の重症NE診断への有用性が示唆される結果を得ているが、新生児脳症の神経細胞死の過程を考察できるだけの症例数が得られていない。新生児脳症の症例数を増やして、結果を考察する必要がある。

今後の研究の推進方策

症例数を積み上げ、引き続き結果を充実させる予定である。また、対象患者カルテから臨床データ(児の在胎週数、出生体重、胎盤・臍帯所見、診断名、脳低温療法の有無、血液検査データ、及び頭部超音波所見)を抽出し、統計解析を行い、SBDP測定値との関係性を検討する。

次年度使用額が生じた理由

COVID19による物流の遮断、旅行の自粛による。

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公開日: 2021-12-27  

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