研究実績の概要 |
これまでに我々は過剰肋骨の機序解明を目的とし、妊娠9日フルシトシン(5FC)投与で過剰肋骨の出現とともに胸椎腰椎境界部でHoxa10の後方化を認め、さらに妊娠13日投与で後肢のHox11-13の発現減少とともに四指形成に異常をきたすことを見出し報告してきた(Kumamoto et al., Fundam. Tox. Sci. 2020他)。 一方、四指の異常は重篤であり、Cyclin群の変動も認めたことから、その系統差から過剰肋骨の毒性学的意義の考察を行う前段階として5FCのアポトーシス誘導の可能性を探るため、in vitro評価を実施した。 まずラット胎児由来線維芽細胞の培養系を確立し、24h薬物処理後のレサズリン細胞生存率アッセイ、リアルタイムPCRによるCyclin遺伝子群発現、フローサイトメトリーによるFITC/PIアポトーシスアッセイを実施。その結果、陽性対照5FUに見られる変動が5FCで認められず、5FCによる骨格異常は直接的なアポトーシス誘導によるものではないことが示唆された(第60回先天異常学会発表予定)。 続いて系統差の遺伝学的な検出を行うため、予備検討としてSD系・Wistar系の妊娠ラットを各1匹購入、その胎仔尾部よりgenome DNAを抽出、hot start PCRによる増幅を行い、カラム法によるプライマー除去を行った後、DNAシーケンス解析を行った。Hoxa9, a10の全エクソンおよびプロモーター領域の解析を行い文献情報との比較検討を完了した。 さらに本実験として妊娠ラットを各4匹購入、全胎仔のサンプリングを完了し、シーケンス解析を進めている段階にある。
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