研究実績の概要 |
低たんぱく食による子宮内発育遅延(Intrauterine Growth Retardation: IUGR) マウスモデルの作成に取り組んだ。雄雌交配し自然妊娠成立後、低たんぱく食群(LP群、蛋白8%含有)とコントロール食群(NP群、蛋白20%含有)に分け出産まで各栄養食で管理した。E19.5(出産直前)における母マウスの平均体重はLP群:30.6g (n=3)とNP群:38.6g(n=4)であった(p<0.05)。一方、仔マウスの出生平均体重はLP群で低値であったのものの統計学的には有意差を認めなかった[NP群: 1.57g(n=32) 、LP群:1.29g (n=33)、p=0.34]。 まず、耐糖能検索のためグルコール負荷試験を行った。12週齢マウス(NP群:n=10、LP群n=5)を12時間絶食管理した後、グルコース1g/体重(kg)を腹腔内投与し、0分、15分、30分、60分、90分、120分で血糖値を測定した。NP群とLP群でそれぞれ96.5±7.9 mg/dL vs. 95.6±17.9 mg/dL(0分)、279±29.1mg/dL vs. 239.4±41.1mg/dL(30分)、183.2±30.9mg/dL vs. 162.2±46.9mg/dL(60分)、109.5±17.2mg/dL vs. 93±26.1mg/dL(120分)と推移した。両群間で耐糖能に相違は認めなかった。 マウス肝におけるCyp7a1 RNA発現量(qPCR)比は、NP群と比べてLP群では0.73(each, n=3)に低下していた。IUGRモデルマウスでは、Cyp7a1発現が抑制されており、このような仔体に脂質負荷が加わると、非 アルコール性脂肪性肝疾患発症のリクスが高まると予想された。 現在、Cyp7a1発現抑制が確認されたIUGRモデルマウスに脂質負荷食を与え、胆汁酸再吸収阻害薬(胆汁酸再吸収阻害による腸肝循環する胆汁酸プール量減少によって、肝臓でのCYP7A1発現を増強し、コレステロール排泄能を改善する効果)の脂肪肝発症抑制効果を検討中である。
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