研究実績の概要 |
本研究の目的は、現在のところ正確な測定法のないヒト血中一酸化炭素(CO)濃度測定法を世界で初めて開発すること、血中CO濃度とUGT1A1遺伝子変異を用いて生後2週間以降に黄疸が増強する早産児の予測法を開発することであった。 NICUに入院した33週未満または1500g未満の院内出生の新生児77例を対象とした。日齢14以降における総ビリルビン(TB)10mg/dL以上の黄疸を晩期黄疸と定義し、対象を晩期黄疸あり群(28例)と晩期黄疸なし群(49例)の2群に分け、背景因子、周産期因子、合併症、母乳栄養、UGT1A1*6アレル頻度について、単変量・多変量解析で比較検討した。結果、晩期黄疸あり群では、晩期黄疸なし群に比して、母乳主体栄養の頻度が有意に高く(日齢13まで 89% vs.59%, p=0.004、日齢14以降 93% vs. 65%, p=0.006)。また、UGT1A1*6アレルを有する頻度が有意に高かった(50% vs.27%, p=0.044)。さらに多項ロジスティック回帰分析では、UGT1A1*6アレル(オッズ比7.7倍、p=0.003)、日齢13までの母乳主体栄養(オッズ比7.5倍、p=0.041)が独立したリスク因子であった。 hemoCDを用いて、新生児血中CO濃度測定法を開発を試みた。血液100μlをPBS200μlで3倍希釈しそこにoxy-hemoCDを加えた。そこにCOバブリングをすると、oxy-hemoCDは酸素と乖離してCOと結合しすべてCO-hemoCDに変化する。この性質を利用したCO定量系を開発した。光線治療を行っていない新生児の7検体において、血中のCO量と間接ビリルビン量に相関関係があった(y=3.499x, R2=0.0238)。
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