研究課題/領域番号 |
19K17345
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研究機関 | 聖マリアンナ医科大学 |
研究代表者 |
大林 樹真 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教 (20835409)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 横隔膜ヘルニア / 胎児治療 / 気管 / 気管支 |
研究実績の概要 |
気管支結紮および気管結紮の可否を検討するため、気管支および気管径を検討した。とくに内径を評価するためバリウムによる気管気管支造影を行い、単純レントゲン写真での左右主気管支径と気管径を検討した。統計学的解析はMann-Whitney U testを行い、統計学的有意差をp<0.05とした。 胎生満期に犠牲死させた17羊胎仔の内で、腸管脱出を伴う横隔膜ヘルニアを認めていた5羊胎仔(CDH群)と、腸管脱出を伴う横隔膜ヘルニアを認めていなかったコントロール群12羊胎仔を比較した。気管径はCDH群 7.3±0.6mm、コントロール群 8.0±1.5mm(p=0.37)。左主気管支径はCDH群 4.0±0.6mm、コントロール群 5.4±1.3mm(p<0.05)。右主気管支径はCDH群 4.6±0.9mm、コントロール群 5.1±0.8mm(p=0.32)。 胎生100日に犠牲死させた7羊胎仔の内で、腸管脱出を伴う横隔膜ヘルニアを認めていた3羊胎仔(CDH群)と、腸管脱出を伴う横隔膜ヘルニアを認めていなかったコントロール群4羊胎仔を比較した。気管径はCDH群 4.4±0.2mm、コントロール群 4.9±1.0mm(p=0.85)。左主気管支径はCDH群 2.8±0.1mm、コントロール群 3.9±0.7mm(p<0.05)。右主気管支径はCDH群 3.5±0.2mm、コントロール群 3.7±1.0mm(p=1.00)。 横隔膜ヘルニアを認めると、横隔膜ヘルニア側の主気管支が胎生100日、満期ともに細くなっていた。横隔膜へルニアに対して行う胎児治療としての気管支結紮や気管支バルーン閉塞は細径気管支に対して行わないとならないということであり、困難であると考えられた。気管径は横隔膜ヘルニアとコントロールとの間に差がなく、気管支と比較して比較的安全に治療が行える可能性があると思われた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ニュージーランドの動物実験倫理委員会を通して本実験を行っている。動物実験に対しての倫理意識が向上しており、安全性により配慮した実験が求められている。そのための前実験が必要となったため、研究課題の進捗は予定よりも遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の研究で気管支の結紮やバルーン閉塞は倫理的観点から成功率や生存率が低い可能性が示された。そのため気管支ではなく気管の結紮もしくはバルーン閉塞を利用した胎児治療を行う方針となった。
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次年度使用額が生じた理由 |
旅費の一部や物品費などは当該年度の実支出額に含めていない。その他の中に含まれる実験動物である羊購入費が年によって若干異なるため、次年度に繰り越し、その費用に充てる。
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