2021 年度実施状況報告書

小児がん患者における鉄代謝調節因子の遺伝的背景の解明

研究課題

研究課題/領域番号	19K17353
研究機関	山形大学
研究代表者	目黒亨山形大学, 医学部, 助教 (70536937)
研究期間 (年度)	2019-04-01 – 2023-03-31
キーワード	小児がん / 鉄過剰症 / 鉄代謝 / ヘプシジン
研究実績の概要	本研究は日本人小児の急性リンパ性白血病患者における鉄代謝調節因子の遺伝学的背景を解明し、輸血後鉄過剰症の予防と早期治療、白血病発症機構の一端を解明することを主目的とし、日本人小児の急性リンパ性白血病患者における鉄代謝調節因子、酸化ストレス防御機構に関与する因子の遺伝学的背景の一端を解明し、ヘモクロマトーシスの予防と早期治療、白血病発症機構の解明への応用に展開したいと考えている。第一には米国多民族で白血病発症のリスク因子となり得ると近年報告されたTMPRSS6 について、日本人急性リンパ性白血病患児を対象に全コーディング領域における変異の解析を行ったのち統計学的に処理し、発症や予後との相関の有無を検証し有意な結果が得られなかった場合には、他の鉄代謝関連遺伝子について同様の検証を追加する予定である。令和3年度の研究として、検体集積、TMPRSS6について遺伝子変異解析を開始・継続している。
現在までの達成度 (区分)	現在までの達成度 (区分) 4: 遅れている理由同意を得て遺伝子解析に至った症例が少数にとどまる。その理由として、小児科フォローアップ外来での遺伝子解析同意書の取得が想定より遅れていること、他業務の圧迫により遺伝子解析の実施がが想定より遅れていること、が挙がる。
今後の研究の推進方策	特に治療終了5年後以上経過し、受診頻度が少なくなった外来患者については、継続して外来主治医に協力を仰ぎ、十分な説明、同意を得るための時間を取るように配慮する。新規発症患者への同意取得と並行し、オプトアウト掲示による過去の入院患者の発症時検体における同意取得手順の再考をし、検体数の確保を図る。
次年度使用額が生じた理由	予定されていた症例数の集積が未だ不十分であり、新規急性リンパ性白血病発症者の入院自体が例年より少ない状況であるため、オプトアウト掲示による過去の入院患者の発症時検体における同意取得を行って白血病発症時検体の確保を図る。同時に、鉄代謝調節に関わる複数の遺伝子解析を網羅的に行うことも検討する。