研究課題/領域番号 |
19K17359
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
谷河 純平 大阪大学, 大学院医学系研究科, 特任助教(常勤) (40768636)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 先天性GPI欠損症 / 疾患登録システム / 患者レジストリ / REDCap / バイオマーカー |
研究実績の概要 |
オンラインデータ集積管理システムREDCapにおいて、構築した疾患登録システムを引き続き運用して情報の収集をすすめている。現在まで死亡した症例も含め国内で55例確認しており、各主治医へ情報提供を依頼している。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響で引き続き様々な学会が中止やオンライン開催となるなど情報収集の機会が制限されており、各主治医への負担を減らすべく入力の簡素化なども行っている。 また本疾患の特徴である難治てんかんに対して、特異的治療となる可能性があるビタミンB6補充療法の治療反応性なども一部の症例から明らかになってきている。一方で、ビタミンB6治療中に横紋筋融解を来した症例も明らかになったことから、今後はどのような症例や条件でビタミンB6が有効なのか、またその安全性についてや、様々な抗けいれん薬の中でもどのようなものが効果が高いのか、などさらに詳細に検討していく。 また、疾患バイオマーカーの探索に関しては、候補となり得るたんぱく質を複数同定しており、これらのGPIアンカー型たんぱく質をELISA法を用いて、先天性 GPI欠損症でない患者などから採取した血清で測定し、測定条件の検討などを行っているが、結果が安定しないものもあり、引き続き測定条件を検討している。これらと並行して、先天性GPI欠損症患者と新規に診断された各主治医への血清検体の提供の依頼を行った。また、先天性GPI欠損症でない疾患対照群の血清を同意を得た上で採取し、現時点で小児25例、成人12例で疾患対照群の血清を採取して、検体を冷凍にて保管している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
各主治医に対してデータベースの入力を依頼しているが、各主治医が多忙であったり、各主治医とのコミュニケーションが限られてしまい、入力が一部に留まっている。また、バイオマーカーに関しても、マーカーたんぱくによって測定値が安定しない問題を解決する必要があり、最終的な測定に至っていない。
|
今後の研究の推進方策 |
各主治医への依頼を繰り返しているが、なかなか状況が改善しない。また、国内で新規に診断される症例も減ってきているが、学会参加による情報交換により、他施設で実施している全エクソーム解析症例の中に複数名の先天性GPI欠損症患者が存在するとの情報が寄せられており、その患者や主治医への協力を依頼していく。 バイオマーカーに関しては、予備実験で使用するため、再度患者検体を取得した。本年度中に、少なくとも最終候補の中で、その有用性を検討する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
主な原因としては、血清バイオマーカーの実験をあまり行うことができず、進捗が十分でなかったことが挙げられる。また、新型コロナ感染の影響により、海外学会や国内学会での現地参加が困難であったことなども原因である。今年度で、バイオマーカーの実験を終了し、学会の現地開催が増えてきたことから、可能な限り学会へ赴き、主治医へデータベースの入力の協力を依頼し、疾患としての特徴を明らかにする。
|