本研究は、神経変性疾患である橋小脳低形成10型の患者や動物モデルにおいて細胞内に蓄積しているチロシンtRNA前駆体から由来の5 '側のエクソン断片(5' Tyr-tRF)が、がん抑制因子p53の過剰な活性化を介して神経細胞死を惹き起こす際に関与する分子を同定し、その分子機能の解析を行うことを目的とした。解析の結果、5' Tyr-tRFはPyruvate kinase M2(PKM2)と結合すること、PKM2 mRNAは5' Tyr-tRFによって誘導される神経細胞死を改善することを解明した。その結果、5' Tyr-tRFがPKM2を介して惹起する神経細胞死の分子機構の一部を明らかにした。
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