研究実績の概要 |
周産期医療の進歩により、日本の新生児死亡率は現在世界のトップレベルを維持している。しかし、新生児慢性肺疾患、未熟児網膜症などの合併症は増えており、疾患のさらなる病態解明や 治療薬開発が急務である。我々は、新生児の血液から、mRNA,マイクロRNA(miRNA),長鎖ノンコーディングRNA(lncRNA)を内包するエクソソームを抽出することに成功した。 本研究の第一の目的は、早産児から正期産児までの臍帯血を用いてエクソソーム、 lncRNA,miRNA,mRNAの発現解析を行い、データベースを構築することである。 第二の目的は、得られたデータベースを研究協力者の森らが開発したAb Initio 遺伝子軌道法(国際出願番号: PCT/JP2018/013877)を用いて解析し、新生児慢性肺疾患、未熟児網膜症、壊死性腸炎について発症 や重症化に関与する疾患関連lncRNA-miRNA-mRNAネットワークや疾患バイオマーカーを同定することである。本研究により、各疾患モデル動物を用いた病態解明や治療薬開発にむけた基礎研究への展開も期待できる。 当該年度において、予備実験で、ヒト血清中のエクソソームならびにmiRNAの抽出、濃度測定について実施した。Agilent バイオアナライザー2100を用いてRNA Integrity Numberを測定し、抽出されるRNAの質に関しても問題ないことを確認している。エクソソーム特異的タンパクであるCD63,CD9の発現をウェスタンブロットで確認した。また、real-time PCR法を用いて、miRNAの発現も確認できた。
|