本研究は先天性の腎尿路奇形(主に低形成腎/異形成腎)を早期発見することを目的におこなっている。具体的には新生児の腎機能低下を発見することで、腎尿路奇形の発見を検討している、すでに先行研究として、液体クロマトグラフィーを用いて新生児のろ紙血クレアチニン値が測定できることや手法の安定性、そのカットオフ値になるものを論文化している。この手法について、スクリーニングに耐えうる検体数を測定して、さらに発展させる研究を目的としている。 研究費を取得してからの2019年度までに、①測定系の確立、②測定についてのアナウンスを行う予定となっていた。 測定系の確立については、すでに公的スク リーニングに用いられている内部標準試薬に、同位体クレアチニンを添付したものを作成した。この試薬によって新生児ろ紙血の測定を繰り返し、測定の安定性、他測定項目への影響がないことを確認した。測定系については、確立したものと考える。 測定のアナウンスについては難航している。本研究は愛知県や名古屋市の協力を得て、公的ろ紙を使用した測定を行うことで、大量の検体数を確保する予定であった。しかし2020年になって、研究に同意いただけないとの返答をいただき、研究計画の全面的な見直しを要することとなった。 本計画は大量の新生児検体の測定を行うこと、それを実際の運用機関で行うことの2点が非常に重要と考えており、行政機関とのタイアップなしに研究を継続することは困難である。2022年度は実際に他都県の責任者ともミーティングを行い、本研究計画に参加いただけないか、個別に交渉を行ったが、研究協力いただける機関を見つけることができず、当初の研究計画通りに遂行することができなかった。
|