研究課題/領域番号 |
19K17375
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研究機関 | 獨協医科大学 |
研究代表者 |
大戸 佑二 獨協医科大学, 医学部, 講師 (60448868)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | プラダーウィリー症候群 / 成長ホルモン補充療法 / 性腺ホルモン補充療法 / トランジション / 甲状腺機能低下症 / 骨密度 / 糖尿病 / 新生児 |
研究実績の概要 |
プラダーウィリー症候群は、新生児期の筋緊張低下および哺乳障害、幼児期からの過食と肥満、発達遅延、低身長、性腺機能不全などを特徴とする症候群であり2015年2月に指定難病に加えられた。プラダーウィリー症候群は年齢とともに病像が変化するのも特徴の一つであり、学童期になると執拗さ、頑固さ、こだわりや思い込みが強くなり、周囲とのトラブルが多くなる。かんしゃく等の感情の爆発がみられることもあり、性格や行動の問題が年齢とともに強くなる。以上のことからプラダーウィリー症候群の管理は小児期から学童期、成人期に必要となるが現在の日本では成人例も含め小児科での管理がほとんどであり問題となっている。そのため当研究ではプラダーウィリー症候群のトランジションを主な研究対象としている。 トランジションが困難な理由として、その多彩な合併症が挙げられる。様々な内分泌学的合併症があり、具体的には高度肥満による糖尿病や睡眠時無呼吸症候群、性腺機能低下症に伴う骨密度の低下がある。また下垂体機能低下症の合併症に関しても不明なことが多い。そこで今回の研究では、プラダーウィリー症候群の甲状腺機能について研究、発表を行い2019年に論文化することができた。また、成長ホルモン治療における骨密度の影響についてIPWSOという国際学会で海外発表を行い、論文化した。プラダーウィリー症候群の管理困難な理由として糖尿病の管理が困難であり、現在の日本のプラダーウィリー症候群患者の糖尿病の現 状や精神疾患の関わりなどに関し、2021年に学会発表を行い、論文化をした。早期診断、早期からの介入により上記のような合併症予防につながると考え、周産期及び新生児期のデータをまとめ2022年に学会発表し、論文化した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要で述べたように当研究ではプラダーウィリー症候群のトランジションを主な研究対象としている。成人期以降の管理の要点として、成長ホルモン治療や性腺ホルモン補充療法が挙げられる。 現在、日本ではプラダーウィリー症候群の成人における成長ホルモン治療は認められておらず、成人成長ホルモン分泌不全症に適応は限られるが、昨年より成長ホルモン治療の治験が始まった。今後の症例の蓄積が必要と考えられる。性腺ホルモン補充療法に関して、その治療意義である骨密度の評価に関してはIPWSOという国際学会で発表を行い、論文化した。また、プラダーウィリー症候群の管理困難な理由として糖尿病の管理が困難であり、現在の日本のプラダーウィリー症候群患者の糖尿病の現状や精神疾患の関わりなどに関し、2021年に学会発表を行い、論文化をした。また新生児期のデータを論文化した。
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今後の研究の推進方策 |
トランジションが困難な理由として、合併症の管理が困難であることが挙げられる。しかしながら、合併症に関し海外データはあるが日本人プラダーウィリー症候群データは少ない。そこで今回の研究ではその合併症の機序や頻度、その治療などの現状を一つ一つ明らかにし、小児科医のみならず精神科医、循環器内科、呼吸器内科医、糖尿病内分泌内科医、整形外科医と様々な診療科でプラダーウィリー症候群の診療を行えるような環境調整を行えるシステム構築を目指していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により、多くの学会が中止やWebでの開催となり次年度使用額が生じた。 今後は小児内分泌学会や日本内分泌学会での発表やセミナー参加を積極的に行い、最新の知見や知識を得たうえで、プラダウィリー症候群やそのトランジションに関する研究を継続していく。
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