(1)胎児に移植した脂肪由来間葉系幹細胞が神経に分化していることを明らかにする。 グリーンマウスから抽出した脂肪由来間葉系幹細胞を投与した胎仔で、胎生 19 日の胎仔脳から緑色蛍光細胞をマイクロダイセクション法により投与細胞を回収することを試みた。しかし脂肪組織由来間葉系幹細胞の浮遊液(5x10^5 cell/2 uL)を投与することでは生着量に著しい個体差が生まれ回収が困難であった。そのためパパイン処理により胎仔脳を分散処理することで緑色蛍光細胞の回収が可能となった。現在、回収された細胞群で遺伝子発現解析を施行中である。 (2)同系移植と比較して母親の脂肪由来間葉系幹細胞が移植免疫反応を抑制されることを明らかにする。 母親の移植細胞に対する免疫応答について細胞投与後の血中炎症サイトカインの変化の確認を行った。しかし浮遊細胞による投与方法では細胞浮遊液の液量による脳室内圧上昇からダウン症モデルマウスにおいては生仔を得る率が明らかに低くなることが判明した。そのため生存率を高める方法として抽出された間葉系幹細胞よりニューロスフィアを形成した後に投与することで投与細胞量を増加させ、投与液量を減量することで対処を図ることとした。前年度までの研究により脂肪組織由来間葉系幹細胞から誘導することでニューロスフィアを形成することはすでに確認している。現在、野生型マウスにおいて脂肪組織由来間葉系幹細胞から誘導されたニューロスフィアを胎仔脳室内に投与し、in vivoにおける神経分化の確認を行っている。1 uLの投与液量で胎生14日のマウス胎仔の脳室内に投与 することで良好に生児が得られ、投与後週間後の生着も確認された。現在対象とするダウン症モデルマウスをPiggyBac transposonシステムを用いて作成中である。
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