間葉系幹細胞による胎児治療は以前から検討されているが、胎児には母親の免疫細胞が存在し移植細胞が退治に生着する際の主な障壁になる。そこで母親の間葉系幹細胞を利用し投与した幹細胞の生着率を向上させる方法を考えた。マウスを用いた実験で母獣の脂肪由来間葉系幹細胞を胎仔の脳室内に投与し生体での神経分化の有無および胎仔脳への生着を検討した。結果、胎仔脳へ投与した母親の脂肪組織由来間葉系幹細胞は出生後も長期に生着し成熟神経細胞様に分化した。さらに母獣より抽出した幹細胞では移植後の炎症反応が抑制された。本研究の結果は先天性中枢神経疾患の胎児治療のリソースとして母体幹細胞は有用である可能性を見出した。
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