研究課題/領域番号 |
19K17387
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
飯野 勢 弘前大学, 医学部附属病院, 講師 (90814343)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | NAFLD / NASH / Faecalibacterium |
研究実績の概要 |
大規模調査によりNAFLDにおける腸内細菌叢の変化について研究を進めた。2016年に岩木健康増進プロジェクトに参加した成人1148人の腸内細菌を解析した。腸内細菌は便検体より、次世代シーケンサーを用い16SrRNA遺伝子塩基配列より菌群の帰属を推定した。ウイルス性肝炎やアルコール飲酒、薬剤内服を除外した874人を対象とし、腹部超音波検査にて脂肪肝を認めたものをNAFLD群とした。NAFLD群と正常群とで、全体の1%以上の存在率を示す腸内細菌の比較を行った。肥満が腸内細菌叢に影響を与えるため、BMIによる調整を行い、男女別々に、BMI値の差が0.2未満でマッチングを行った。NAFLD群は205人、正常群は669人であった。NAFLD群は正常群に比べて、BMI、内臓脂肪の割合、HOMA-IRが、有意に高値であった。1%以上の存在率を認めたのは、4門、6綱、7目、9科、12属であった。その中で、NAFLD群と正常群を比べて有意差を認めたのは0門、2綱(Clostridia、Negativicutes)、2目(Clostridiales、Selenomonadales)、3科(Bacteroidaceae、Ruminococcaceae、Veillonellaceae)、3属(Bacteroides、Faecalibacterium、Lachnospiracea)であった。BMIによる調整にて153組がマッチした。科でRuminococcaceae 、属でFaecalibacteriumが、NAFLD群で有意に存在率の低値を認めた。大多数の検討において、NAFLD群は正常群と比較し、腸内細菌叢に違いを認め、特にFaecalibacteriumはNAFLDとの強い関連があった。Faecalibacteriumの増加がNAFLD発症、進展への抑制となる可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
健常群とNAFLD群の腸内細菌叢の解析により、NAFLDで腸内細菌叢が変化することが判明した。また、BMIの調整においてもFaecalibacteriumが有意に低下することよりNAFLDの病態と深く関わっていることがわかった。
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今後の研究の推進方策 |
NASH群での腸内細菌叢の変化やFaecalibacteriumがNAFLDからNASHへの進展へどの様に影響を与えているか検討を進めていく。また、メタボローム解析等を通して、NAFLDとNASHに関わる代謝について検討を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
測定機器購入や発表旅費、論文経費にあてていく。
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