研究実績の概要 |
アンギオテンシン受容体拮抗薬(ARB: telmisartan,losartan, irubesartan, valsartan, azilsartan)の肝細胞癌(HCC)株(HepG2, HuH-7, PLC/PRF/5, HLE, HLF)に対する抗腫瘍効果を検討した。telmisartanは濃度依存性に各HCC株に腫瘍増殖抑制を示したが、他のARBは同濃度でHCC株に抗腫瘍効果はなかった。Telmisartan0~10μMと分子標的治療薬(sorafenib, lenvatinib)0~10μMを使用し、細胞増殖アッセイでtelmisartan単独, 分子標的治療薬, telmisartan+分子標的治療薬併用で比較したとこ、併用群で最も強い細胞増殖抑制効果を認めた。薬剤投与後の細胞を回収し、フロサイトメトリーで細胞周期変化を検討したところ、telmisartan+分子標的治療薬投与によってG1アレストを認めた。血管新生分子群のアレイ解析ではtelmisartan投与によってFGFの発現が亢進していたが、分子標的治療薬と併用によってFGFの発現亢進がキャンセルされた。レセプター型チロシンキナーゼ群のアレイ解析ではtelmisartan投与によってErbB3の発現低下を認めたが、分子標的治療薬の併用によっては変化を認めなかった。 HepG2の腫瘍異種移植マウスモデルを作製し、telmisartan+lenvatinibの投与を行ったところ、controlと比較して腫瘍増殖抑制効果を認めた。腫瘍を回収して、2555分子のmicroRNAについて網羅的に解析をしたところ、controlと比較してtelmisartan+lenvatinibで有意に変動したmicroRNAは4分子(miR-571, miR-655-5p, miR-2681-5p, miR-3122)であった。
|