研究課題/領域番号 |
19K17408
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
西田 裕 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 病院講師 (60804705)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | SLCO2A1 / 非特異性多発性小腸潰瘍症 / プロスタグランジン / マクロファージ / NLRP3インフラマソーム / マウスモデル |
研究実績の概要 |
DSS腸炎モデルでは、Slco2a1-/-マウスが野生型マウスに比べ腸炎が悪化した。それらの腸管組織のマイクロアレイ解析の結果から、NLRP3に焦点を当てDSS腸炎の炎症を評価したところ、Slco2a1-/-マウスにおいて、mature-IL-1β、cleaved-caspse-1、NLRP3の蛋白発現が亢進しており、インフラマソームが活性化していることが示唆された。また、マイクロアレイのデータからもマクロファージの関与が示唆されたため、また骨髄マクロファージを分離後、LPSで4時間刺激したところ、mature-IL-1β、cleaved-caspse-1、NLRP3の蛋白発現が亢進した。インフラマソームの阻害薬であるMCC950をマウスに投与したところ、MCC950を投与したSlco2a1-/-マウスと野生型マウスの炎症の程度はほぼ同程度となった。 マクロファージのSlco2a1欠損が腸炎を悪化させているかどうかを確認するため、Lysozyme M (LysM)特異的SLCO2A1ノックアウトマウス(Slco2a1flox/flox; LysM-creTg/-)と野生型マウス(Slco2a1flox/flox; LysM-cre-/-)のDSS腸炎モデルを作成したところ、前者で腸炎が悪化していた。一方、腸管上皮特異的SLCO2A1ノックアウトマウス(Slco2a1flox/flox;Villin-creTg/-)では、野生型マウスと比較して腸炎は軽減していたことから、マクロファージのSlco2a1が炎症に重要な因子であることが示唆された。 Slco2a1-/-マウスと野生型マウスの、DSS腸炎モデルにおける腸管のPGE2とPG関連のmRNAを測定し、Slco2a1-/-マウスでは、組織内にPGE2が貯留し、代謝できていない結果を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
腸管やマクロファージにおけるPGE2濃度や、PGE2の代謝に関わる遺伝子のmRNAの発現に関する結果は得られた。Slo2a1-/-マウスにおいて腸管組織内のPGE2濃度の上昇と、マクロファージ周囲のPGE2濃度上昇を認めており、SLCO2A1の細胞内へのPGE2の取り込みが低下し、代謝が低下していることが示唆された。 また、PGE2の濃度上昇がインフラマソームを活性化させることがわかり、DSS腸炎にインドメタシンの投与を行い、仮説通りの結果が出ている。
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今後の研究の推進方策 |
BMDMsにLPSで刺激前に、PGE2とインドメタシンを投与し,インフラマソーム関連分子がマウスモデルと同様の結果になるかどうか実験を行っていく。この結果でマウスモデルと同様の所見が出れば、新規治療薬探索としてBMDMsやDSS腸炎マウスに対してEPレセプターのアンタゴニストなどの投与を行い、PGE2を抑えるポイントに迫っていきたいと考えいる。
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次年度使用額が生じた理由 |
BMDMsにLPSで刺激前に、PGE2とインドメタシンを投与し、インフラマソーム関連分子がマウスモデルと同様の結果になるかどうか実験を行っていく。
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