研究課題
血管内皮増殖因子(VEGF)ファミリーメンバーであるVEGF-Bは骨格筋や脂肪組織といったインスリン標的器官に作用して、脂肪酸トランスポーター(FATPs)をmRNAレベルで誘導し、細胞内の脂肪蓄積を促進することが知られている。このため、VEGF-Bは異所性脂肪蓄積治療における新たな標的因子として有望視されている。研究代表者は、既存の胃潰瘍・十二指腸潰瘍治療薬であるランソプラゾールが、ヒト肝がん細胞株HepG2およびHep3BにおいてVEGF-B発現量を減少させることを見出している。その後の実験でランソプラゾール投与のみでは肝細胞株の脂肪酸取り込み量を変化させる結果は得られなかった。しかし、一方でランソプラゾールの投与によってコレステロール代謝を制御する転写因子LXRが活性化され、酸化LDLの肝細胞内取り込み量が減少することを明らかにした。また、ランソプラゾールは転写因子Nrf2を活性化させて細胞の酸化ストレスを減少させることを明らかにした。これらの結果を元に、現在はランソプラゾール処理によるVEGF-B発現量減少効果と転写因子LXRおよびnrf2活性化の関係性についてさらなる解析を継続して行っている。研究代表者の休職期間と新型コロナ感染症流行のために計画していたノックアウト動物の導入やそれらを用いた病態動物の作製などを実施する事が出来なかった。平成5年度は現在までのデータを元にした論文の執筆を行い、2報の論文を発表した。
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Bioscience of Microbiota, Food and Health
巻: - ページ: -
10.12938/bmfh.2023-095
PLOS ONE
巻: 18 ページ: e0287788
10.1371/journal.pone.0287788