内視鏡の進歩により、小腸潰瘍が認知されるようになったが、いまだ治療薬の開発には至っていない。ボノプラザンは胃潰瘍治療薬として用いられているが、Nrf2という転写因子を介して抗酸化ストレス酵素を産生させることを小腸でも予備実験で見出したため、小腸潰瘍に対する治療薬の可能性が考えられた。本研究では全長の長い小腸で全般的にボノプラザンがNrf2の転写活性を増大させるか検討した。空腸の口側20から25㎝で抗酸化ストレスタンパク質の発現が増大したが、全般的には発現の増加を認めなかった。このため、腸管でも特に長い小腸においてはボノプラザンによる小腸潰瘍治療効果は期待できない結果となった。
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