非アルコール性脂肪肝炎(NASH)では、非硬変肝で発癌がみられる一方、発癌を伴わない肝硬変症例も多くみられるため、線維化とは独立した発癌のバイオマーカーが求められる。長期経過観察が可能であったNASH30症例についてpSmad3C抗体、pSmad3L抗体を用いて免疫組織染色を行い肝細胞におけるSmadのリン酸化状態と発癌や線維化との関連を検討した。NASHでは、炎症経路を共有して肝線維化と発がんが同時に進行する場合と、炎症や線維化がほとんどない状態で肝発癌に至る場合があり、そのいずれの場合も発癌過程にリン酸化Smad3Lシグナルの亢進とリン酸化Smad3Cシグナルの減弱が重要であった。
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