研究課題/領域番号 |
19K17416
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研究機関 | 地方独立行政法人宮城県立病院機構宮城県立がんセンター(研究所) |
研究代表者 |
岩井 渉 地方独立行政法人宮城県立病院機構宮城県立がんセンター(研究所), がん幹細胞研究部, 特任研究員 (80814540)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 膵癌 |
研究実績の概要 |
GPI型膜タンパク質CD109は扁平上皮がんで発現が亢進し、TGF-βシグナル抑制に働くと考えられてきたが、別機能の報告もあり、役割の詳細は不明である。申請者は、腺がんである膵がんにおいても、CD109の発現が亢進していること、またその発現が膵がん細胞株の造腫瘍性に必須であることを確認した。そこで本申請では、CD109が膵がんのバイオマーカーや治療標的となりうるか検証するため、①臨床検体でのCD109の発現、および他のマーカー(TGF-β、JAK/STATシグナル関連分子など)発現や、免疫系細胞(制御性T細胞など)浸潤との相関、②マウスモデルにおける造腫瘍性や転移への関与、③膵がんにおける転写制御機構、を検討/解明する。本申請では、難治性がんである膵がんで、CD109のシグナル機能を解明し、病態の理解や治療法開発に向けた基礎データを収集する。その成果は、TGF-βシグナル伝達系制御の新側面を明らかにする可能性もある。 これまでに、膵がん細胞株を用いて、CD109のノックダウン細胞とノックアウト細胞を樹立した。その結果、CD109発現が低下すると、造腫瘍能が低下し、移動能が低下することが判明した。In vitroでの細胞増殖能には変化がなかった。また、膵癌手術検体におけるCD109の発現強度を調べた結果、CD109高発現症例には遠隔転移症例が有意に多いことが判明した。これらのことから、CD109は膵癌細胞において、細胞移動能を制御した結果、遠隔転移に関わることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請書通りに進めており、成果を発表した。
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今後の研究の推進方策 |
CD109の細胞内シグナルに関してさらに検討を続ける
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次年度使用額が生じた理由 |
マウスの実験が予定よりも速やかに終了したため、細胞内シグナルの網羅的解析のために予算をあてることとした。
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