研究課題
本研究は膵液中に存在する膵癌特異的なエクソソームに着目し、膵癌進展機構の解明と膵癌早期診断への応用を目的として研究を開始した。しかし、マウスとヒトの膵液から超遠心法によりエクソソーム単離を試みたが、収量が少なく安定的な採取が困難であった。そこで、膵癌患者の血清エクソソームを用いたバイオマーカーの開発を目指し、膵癌患者3例、慢性膵炎など良性疾患3例の血清からエクソソームを抽出した。毛性エクソソームからtotal RNAを抽出し、バイアナライザと用いて良好な品質であることを確認した。次に両患者間におけるエクソソーム中の遺伝子プロファイルの相違を次世代シークエンサーを用いて網羅的に解析した。本研究では近年様々ながん腫においてその関与が注目されているlong non-coding RNS(lncRNA)に対象を絞って検討を行い、膵癌患者で上昇するlncRNA12種類、低下するincRNA16種類をバイオマーカーの候補として同定した。同定したいくつかのlncRNAに関してreal time PCR法を用いてvalidationを試みたが、ばらつきが多く安定した結果は得られなかった。血清エクソソームからのRNA収集量が非常に少ないこと、次世代シークエンサーを行った膵癌症例がStageIVと進行例に偏っていたことなどが原因と考えらえれた。より多くのRNAが抽出できるよう、新しいキットの使用を検討している。その上で、残りの候補lncRNAについてvalidationを行っていく予定である。
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Scientific Reports
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Diagnostics
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