研究課題
大腸癌のスクリーニング検査として便潜血検査が使用されているが腺腫の検出能としては不十分である。近年、血液中のエクソソームmicroRNA (miRNA) がリキッドバイオプシーの候補として注目されている。三次元オルガノイド培養システムを用いることで大腸腺腫に特異的なエクソソームmiRNAを同定し、大腸腺腫のリキッドバイオプシー検査への応用が可能と考えた。本研究では、内視鏡治療で切除した同一標本から大腸正常上皮オルガノイド、大腸腺腫オルガノイドを樹立し、培養上清から超遠心を用いてエクソソームを分離した。エクソソームmiRNAを抽出し、正常-腫瘍間のマイクロアレイ解析を行った。変動を認めたmiRNAを候補として、内視鏡治療前後の血清エクソソームmiRNAをリアルタイムPCRにより比較検討した。結果は、大腸正常上皮・腺腫オルガノイドを同一標本よりペアで3症例樹立した。大腸腺腫オルガノイド培養上清中のエクソソーム内miRNAにおいてmiR-4323、miR-4284、miR-1268a、miR-1290、miR-6766-3p、miR-21-5p、miR-1246の発現増加が認められた。10 mm以上の大腸腺腫症例で内視鏡治療前後の比較を行い、治療後血清エクソソームmiR-4323、miR-4284、miR-1290、miR-1246の発現が有意に低下した。4つのmiRNAを組み合わせることで腺腫の診断能の向上が認められた (Area Under the Curve (AUC) 値0.698)。大きい腺腫ではAUC値は0.834とより高値であった。血清miRNAでは治療後、miR-1290、miR-1246の発現が有意に低下し、2つの血清miRNAの組み合わせによる腺腫の診断能の評価ではAUC値0.691であり、大きい腺腫ではAUC値0.834であった。
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Clin Transl Gastroenterol
巻: 12 ページ: e00356.
10.14309/ctg.0000000000000356.