研究課題/領域番号 |
19K17425
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
日比谷 秀爾 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 特任助教 (20801963)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 炎症塑性 / 長期炎症 |
研究実績の概要 |
炎症性腸疾患(IBD)は一旦「寛解」するも「完治」はせず、再燃するため罹病期間が長期となる難病である。寛解時の腺管のねじれなど腸管上皮細胞の形質塑性は以前より指摘されているがその原因は不明である。申請者は長期炎症で不可逆的に機能不全に陥った上皮細胞「塑性」こそ病態の根幹であり、塑性獲得機構及びリセット機構の解明がIBD病態解明や治療法開発に直結すると着想した。本研究は独自に構築したマウス腸管体外長期炎症モデルをさらにヒト体外長期炎症モデルにまで発展させ、ヒト腸管上皮幹細胞における長期炎症下での塑性獲得機構及び塑性リセット機構を解析する。具体的には1)ヒトIBD擬似モデルの構築、2)長期炎症による腸管上皮幹細胞の炎症塑性獲得機構解析、3)腸管上皮幹細胞炎症塑性リセット機構解析を中心課題に据える。本研究で得られる成果はIBDの上皮細胞病態解明及び「完治」を目指した治療法の基盤構築に繋がるものである。 今年度は1)ヒトIBD擬似モデルの構築に関しては、1年以上の長期炎症モデルを構築した。2)長期炎症による腸管上皮幹細胞の炎症塑性獲得機構解析に関しては、長期炎症刺激後に一旦炎症刺激物質を除去しても腸管上皮オルガノイドの炎症応答は持続しており非可逆的な形質変化を確認した。さらにIBD患者病変部由来のオルガノイドを樹立し、細胞塑性の共通機構を同定した。3)腸管上皮幹細胞炎症塑性リセット機構解析は上記モデルを用いて来年度に解析予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の目的通り、ヒト腸管オルガノイドを樹立し、炎症刺激物質を選定の後に持続的な炎症刺激を行った。1年以上の炎症刺激オルガノイドを構築しており、概ね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
今年度構築した炎症刺激オルガノイドの解析を行う。マイクロアレイにて長期炎症特異的遺伝子の同定、炎症除去による炎症塑性特異的遺伝子を同定し、その機能解析を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
オルガノイド培養試薬が予測よりも安価であったため。次年度以降は各種解析によるオルガノイド培養量の増加が見込まれており、培養試薬購入に使用する予定である。
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