研究課題
高血糖が進行膵癌に与える影響を検討し、診断マーカーを発見することを目的に本研究を行った。前年度に引き続き、膵癌と高血糖の関係性を明らかにすべく下記実験を行った。high glucose 450mg/dLおよびlow glucose 100mg/dLで28日間培養したマウス由来膵癌細胞株mPKC1を膵尾部に同所移植した。結果、high glucose群の方が腫瘍が大きい結果となった。また膵特異的Kras変異マウスにTrp53をノックアウトしたマウスに、ストレプトゾトシンを投与し糖尿病誘導を試みた。Kras変異およびTrp53のノックアウトがランゲルハンス島にもアポトーシス耐性を与えているのか、7日齢でのストレプトゾトシン 100mg/kg投与では糖尿病誘導ができなかった。ストレプトゾトシン投与を200mg/kgまで増量し、高血糖を誘導した。同モデルは10週齢ほどで癌死するマウスであり、腫瘍の病勢が非常に強く、ストレプトゾトシン投与の有無は腫瘍の進展に影響を与えなかった。上記結果から、高血糖が進行癌に与える影響については限定的な結果しか得られず、早期発見マーカーの同定は困難であった。RNA sequenceについては、上記で見込みのある結果が確認できなかったため、実施しなかった。今後は、膵発癌モデルマウスをランゲルハンス島での発現がない別の膵特異的recombinaseなどを用いた膵発癌モデルで検討する必要がある。
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PLOS ONE
巻: 15 ページ: -