研究課題/領域番号 |
19K17436
|
研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
芥川 剛至 佐賀大学, 医学部, 医員 (40839057)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 脂肪組織 / 細胞増殖能 / アポトーシス |
研究実績の概要 |
膵癌細胞株(PK-1、PANC-1、MIA Paca-2)とラット皮下脂肪組織を共培養し、解析を行った。ラットより採取した皮下脂肪組織を細切し、コラーゲンゲルに包埋した。脂肪組織を包埋したコラーゲンゲル上に、膵癌細胞株を播種し、それらを流体刺激下で7-14日間培養し、解析を行った。 ラット脂肪組織と共培養した群では、膵癌細胞株において、細胞の肥大化、重層化、構成する腺管の増加が見られた。また、細胞増殖能の増加ならびにアポトーシスの抑制を免疫染色で確認した。コラーゲンゲル単独群では、癌細胞はゲル表層のみでの増殖しか見られなかったが、共培養群では、膵癌細胞の浸潤像が観察された。以上より、脂肪組織が膵癌細胞の形態を変化させ、生存・増殖・浸潤の活性化を担っていることが判明した。 次に、膵癌細胞ー脂肪組織解析モデルで得られたタンパクを持ちいて、癌情報伝達経路であるMAPK pathway、STAT pathway、TGF-β pathway、PI3K-AKT pathwayの発現を解析した。これまででえられた結果として、脂肪組織と共培養した群では、MAPK pathwayの一つである、ERKの発現増加を認めた。また、同じMAPK pathwayであるp38の抑制が見られた。以上より、MAPK pathwayが癌細胞活性化における重要な因子である可能性が示唆された。その他のpathwayに関しては、解析途中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
タンパク抽出・解析の手技で、改良点があり、実験に時間を要したため、予定より遅延している。
|
今後の研究の推進方策 |
手技も安定したため、タンパク解析を追加で行い、情報伝達経路の解明を行う。また、2020年度に予定していたcDNA microarrayなどを並行して行う予定。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初予定2020年に予定していた研究計画に加え、追加実験を行うための予算に配分するため、差額が生じた。
|