研究実績の概要 |
本年度の研究の実績としては, 胃癌細胞株を低酸素で培養できる環境を当科研究室で準備することができた。低酸素培養用の専用のチャンバーと酸素濃度計の導入により実際に, 低酸素で培養ができていることを確かめ, ウエスタンブロットでもHIF-1αが発現する条件を確かめることが可能となった. 低酸素培養環境が確立したので, 今後はHIF-1α高発現条件で, ANKRD37やRELといった想定される経路の遺伝子の発現状況についてウエスタンブロットやRT-PCRなどを用いて確認していく. さらにHIF-1α、ANKRD37、RELといった遺伝子のWT/KO細胞株における低酸素条件での細胞増殖の差について比較検討していく. RT-PCRやウエスタンブロット等の各実験条件のより適切な設定についても検討を進めている. RELの阻害剤はペントキシフィリンやIT-901が報告されており、その投与が増殖と関連するかどうかについても検討中である. また, 組織でのHIF-1α等遺伝子の発現の検討では, IRB承認後に, 病歴から喫煙歴により喫煙者と非喫煙者に分類した上で後ろ向きに既報に準じて組織免疫染色強度にてHIF-1α発現の差異等について検討を行う. 動物実験申請の承認後には, 胃癌細胞株をマウスに移植した上で, RELの阻害剤を投与することで同経路への介入が癌治療として有効かどうかの検討も行う予定である.
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