研究実績の概要 |
悪性腫瘍の発症や進展には血管新生が重要な働きをしていることは広く知られているが、近年、血液凝固も悪性腫瘍の発症や進展に重要な働きをしていることが報告されている(Pepin et al. J Thromb Haemost. 2016, Demers M et al. Oncoimmunology. 2013)。ところで凝固因子であるVWFと凝固制御因子であるADAMTS13は肝硬変の病態と関連があることを我々は報告している(Takaya et al. Hepatol Res. 2012)。両因子はVEGFの制御を介して血管新生と関連 (Randi et al. Mediterr J Hematol Infect Dis. 2013, Randi. Blood. 2017 )しており、両因子に着目し肝細胞癌(HCC)に対する新規バイオマーカーの探索をおこなった。早期HCC合併肝硬変患者とHCC非合併肝硬変患者のVWFとADAMTS13を比較検討することで、両因子がHCCの早期診断マーカーとして既存の腫瘍マーカーと同等もしくはそれ以上の診断能を有し、VWFとADAMTS13は腫瘍体積や進展度とも関連することを明らかとした(Takaya et al. BMC Gastroenterol. 2019 )。またソラフェニブ治療を行った進行HCC患者において治療効果予測および予後予測マーカーとしてVWFとADAMTS13が有用であることを明らかとした(Takaya et al. World J Gastrointest Oncol. 2019)。さらに肝動注化学療法を行った進行HCC患者において治療効果予測マーカーとしてVWFとADAMTS13が有用であることを明らかとした(Takaya et al. World J Gastroenterol. 2020)。さらなる研究を進めるためにHCCの治療法であり肝動脈塞栓術とラジオ波焼灼療法の肝機能の変化を検討した(Takaya et al. J Clin Med. 2021, Takaya et al. J Clin Med. 2022)。
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