研究実績の概要 |
肝癌細胞株(HepG2, Huh-7, Hep3B, HLF)におけるSGLTの蛋白発現をwestern blottingおよび免疫染色にて確認した。また、肝癌細胞株内のSGLTのmRNAもRT-PCRを用いて確認することが出来、肝癌細胞株にはSGLT2が発現していることが確認できた。さらに、Panc1やBxpc3といった膵癌細胞株でもSGLT2蛋白が発現していることをwestern blottingで確認できた。肝癌細胞株のミトコンドリアとSGLT2の免疫二重染色およびミトコンドリア分画を用いてSGLT2の局在を確認したところ、SGLT2はミトコンドリア内に局在していることが明らかとなった。 肝細胞株にSGLT2阻害剤(canagliflozin:10μM)を投与した群(n=5)とコントロール群(n=5)で細胞増殖を比較したところ、SGLT2阻害剤投与群で有意差をもって細胞増殖が抑制されることが確認された。 フローサイトメトリ-を用いた実験ではapoptosisを確認したが、肝細胞株にSGLT2阻害剤を投与した群ではコントロール群と比較してapoptosisを起こした肝癌細胞株の割合が変わらなかった。このためSGLT2阻害剤による肝癌細胞の増殖抑制は、apoptosis誘導による癌増殖抑制ではないことが確認された。 今後、細胞増殖の抑制の原因となる代謝変化等の解明により、SGLT2阻害剤投与による肝癌細胞株の増殖抑制機序を解明が期待される。
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