研究課題/領域番号 |
19K17446
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
中野 暖 久留米大学, 医学部, 助教 (40723987)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 肝臓癌 / SGLT2 / SGLT2阻害剤 / 脂肪酸代謝 |
研究実績の概要 |
In vivo NASH関連肝癌マウスモデル(STHD-01 mice)にSGLT2i(ipragliflozin 3 mg/kg/day)もしくはmethylcellulose(Vehicle)を36週間連日投与し(各群:n=6)、肝腫瘍径と個数を評価した。肝腫瘍の発症に関しては2群間に明らかな有意差は認めなかったが、腫瘍径およびとその個数に関しては有意差を以てSGLT2阻害剤投与群で改善を認めていた。 In vitro SGLT2阻害剤を使用した時の肝細胞株(Hep3B)の増殖抑制の作用機序を確認する一つの方法としてPI染色を用いてコントロール群(n=5)、SGLT2 10μM投与群(n=5)、SGLT2 30μM投与群(n=5)の3群に分けて細胞周期の確認を行った。すると、SGLT2阻害剤の濃度依存性にG2期の細胞の割合が増えることが確認された。このことからSGLT2阻害剤を投与することで肝癌細胞株はG2-M arrestを起こしていることが明らかとなった。 次にSGLT2阻害剤による肝癌死細胞株の増殖抑制の代謝変化を確認するため、コントロール群(n=5)、SGLT2 10μM投与群(n=5)の2群において、メタボローム解析を行った。SGLT2阻害剤は糖尿病薬であるにもかかわらず、細胞内の糖の取り込みおよび解糖系に関して、2群間に明らかな差を認めなかった。一方で、脂肪酸代謝、バリン、ロイシン、イソロイシン代謝およびプリン、ピリミジン代謝に関しては2群間で複数の代謝産物に有意な変化を認めることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度のSGLT2阻害剤による増殖抑制効果がapoptosisによるものではない事に付随する研究を行うことが出来た。さらに、研究成果として複数の増殖抑制機序を確認できそうな結果を得ることが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
メタボローム解析による結果に追加して、複数のOmix解析を行うことで更なる代謝変化の確認することでより詳細な変化を確認し、肝癌細胞増殖抑制に関与する代謝経路同定する。 さらに、これらで確認できた代謝経路に関して、western blotting等を用いて代謝経路の変化の確認を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の影響があり、予算としていた学会、研究会への移動費の使用が少なくなったため。
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