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2021 年度 実施状況報告書

SGLT2阻害剤が肝癌におよぼす影響

研究課題

研究課題/領域番号 19K17446
研究機関久留米大学

研究代表者

中野 暖  久留米大学, 医学部, 助教 (40723987)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワード肝臓癌 / SGLT2 / SGLT2阻害剤 / 脂肪酸代謝 / 電子伝達系 / プリン、ピリミジン経路 / ミトコンドリア
研究実績の概要

前年度までに肝癌細胞株のミトコンドリア内にSGLT2が発現している事、SGLT2阻害剤を肝癌細胞株に投与することで肝癌細胞株の増殖が抑制される事、肝癌細胞株の増殖抑制効果が、アポトーシスではなく、細胞周期の低下による増殖能の低下によるものであること、さらにメタボローム解析にてSGLT2阻害剤は複数の代謝経路を変更させる効果を確認できた。
さらに詳細に代謝経路の変化を追求するためにプロテオーム解析を同様の実験系で行い、2つのオミックス解析を用いることでより詳細な代謝の変化を確認した。明らかに変化した経路として、1)電子伝達系、2)脂肪酸代謝経路、3)DNA合成経路であるピリン、ピリミジン経路、の3経路が主に代謝の変化を起こしていることが明らかとなった。
電子伝達系ではATP産生に直接的に関与する、ComprexVの活性化が低下していた。脂肪酸経路では、β酸化の亢進を認めており、最終代謝産物であるケトン体の有意な増加を認めた。
また、電子伝達系の低下を介してATPの産生が低下していることから、AMPKの活性化についても確認を行った。AMPKのリン酸化およびACCのリン酸化をウエスタンブロットで確認を行い、AMPK-ACC経路を介して脂肪酸の合成が抑制されている可能性が示唆された。また、プリン、ピリミジン経路はDNA、RNA合成経路であるが、合成に関与するNucleoside diphosphate kinase Aの低下を認めた。
以上のことから、SGLT2阻害剤はミトコンドリア内のSGLT2を介して、様々な経路から肝癌細胞株の増殖抑制を起こす可能性が考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

マルチオミックス解析を行ったことで、主に肝癌細胞株増殖抑制に関わる代謝経路を確認することが出来た。

今後の研究の推進方策

肝増殖抑制に関与する代謝経路を、より詳細な経路を、ウエスタンブロッティング等を用いて確認を行っていく。

次年度使用額が生じた理由

現在投稿予定の論文の投稿料と使用するため。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件)

  • [雑誌論文] Effects of SGLT2 inhibitor on tumor-releasing chemokines/cytokines in Hep3B and Huh7 cells2022

    • 著者名/発表者名
      Nakano D, Kawaguchi T, Tsutsumi T, Hayakawa M, Yoshio S, Koga H, Torimura T.
    • 雑誌名

      JGH Open

      巻: 17 ページ: 270-273

    • DOI

      10.1002/jgh3.12730

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] SGLT2 阻害剤が肝細胞癌の増殖に及ぼす影響:メタボロームとプロテオームを用いたMulti-omics 解析2021

    • 著者名/発表者名
      中野 暖
    • 学会等名
      第57回日本肝臓学会総会
  • [学会発表] SGLT2阻害剤が肝細胞癌の増殖と代謝に及ぼす影響; Multi-omicsを用いた解析2021

    • 著者名/発表者名
      中野 暖
    • 学会等名
      第53回日本臨床分子形態学会総会・学術集会
  • [学会発表] マイオカインdecorinが肝がん患者のサルコペニアと予後におよぼす影響2021

    • 著者名/発表者名
      中野 暖
    • 学会等名
      29th JDDW(第25回日本肝臓学会大会・第63回日本消化器病学会大会・第19回日本消化器外科学会大会)
    • 国際学会
  • [学会発表] "SGLT2 INHIBITOR ALTERED METABOLIC REPROGRAMMING AND SUPPRESSED PROLIFERATION OF HEPATOCELLULAR CARCINOMA: A METABOLOMIC AND PROTEOMIC ANALYSIS"2021

    • 著者名/発表者名
      Nakano D
    • 学会等名
      The Liver Meeting Digital Experience 2021(The 72th Annual Meeting of the American Association for the Study of Liver Diseases (AASLD))
    • 国際学会

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公開日: 2022-12-28  

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