研究実績の概要 |
時計遺伝子DEC1とDEC2は全身のあらゆる臓器で発現しており、日内リズム、免疫や癌化、低酸素応答、アポトーシス、組織分化の制御など多彩な制御機構を持つ。胆道癌初期浸潤病巣における微小環境形成は、これら時計遺伝子機能が基盤として形成されることを証明するため、時計遺伝子発現における癌微小環境の解明を試みている。 以下の遺伝子・マーカー・細胞を中心に解析中である。(A)ヒト時計遺伝子:DEC, PER, CRY, CLOCK,BMAL、(B)胆道癌幹細胞マーカー:CD133, CD44、(C)胆道癌細胞:HuCCT1, G-415, TGBC18TKBなど胆道癌培養細胞株. 2019年度は、胆道癌細胞の(1)-Ⅰ. 癌幹細胞マーカー陽性細胞の分離・同定を行い、(1)-Ⅱ. 時計遺伝子発現と細胞増殖・浸潤能の解析を行うことを目標とした。 具体的には、胆道癌幹細胞マーカー陽性細胞と陰性細胞との両群で、時計遺伝子の制御機構の差異を検討した。さらにヒト胆道癌細胞株を癌幹細胞マーカー陽性・陰性各々に分離し、高濃度 (50%) 血清刺激を与えて、個々の細胞リズムを同調させることにより概日リズムを誘導させる。その後、癌細胞の増殖・浸潤に及ぼす時計遺伝子発現の影響を検討する。癌細胞株で時計遺伝子をsiRNA で発現抑制し、48~72 時間後に細胞を回収し細胞増殖能を MTS assay で比較する。癌細胞の浸潤能は、Matrigel Invasion assay で比較する。
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